先日、ある情報番組の中で、海外で自撮りが流行っているという話題が取り上げられていました。そんな時に、外国人のコメンテーターから「外国の方々が、何故、日本人は、『食べ物』と『猫』の画像ばかり見ているのか?と不思議がっている」という言葉がありました。
確かに、近年はCMや雑貨などにも猫ちゃんが登場する事が多く、猫ちゃんファンの多さを実感します。そんな猫ちゃん大好きな人達の中でも、子猫ちゃんの魅力を語ればキリがないというご意見も多いものです。
ですから、どうせ猫を飼うのであれば、赤ちゃん時代の可愛い時から・・・と考える方も少なくは無いでしょう。
しかし、実は、子猫の飼育は、成長した猫とは違い、難しい事も沢山あるというのが現実です。間違った子猫の飼い方で、悲劇を起こさない為に知っておいて欲しい事をお話しましょう。
間違った子猫の飼い方で、
悲劇を起こさない為に知ってほしい事
完全室内飼育の子には予防接種は必要無い!?
完全室内飼育であれば病気を持っている猫ちゃんとの接触が無いのだから、伝染病の予防注射である混合ワクチンなど必要無いとお考えの飼主さんがいらっしゃるようですが、それは実は、間違いなのです。
室内飼育であると、いわゆる「モヤシっ子」になりやすく、ウイルスや菌に対する免疫力があまりついていない事が多いのか、野良ちゃん達よりは体が敏感に病気に反応してしまうという傾向にある様です。
飼主さんが、何らかの理由で他の猫と接触し、例えば「猫風邪」の菌(ウイルス)を持ち帰ってしまうとしましょう。それに気付かず、お家の猫ちゃんとスリスリしてしまうと、病気に対する免疫がない子にとって、これがどんな意味を持つのかは、お分かりになりますよね。
また、猫ちゃんが、何かの拍子に脱走してしまったら、いきなり様々な怪我や病気の脅威にさらされる訳です。飼い主さんの根拠のない「家ネコなら、病気とは無縁」という安全神話の結果、猫ちゃんが、風邪を始め様々な病気にかかり、辛い思いをした挙句、動物病院で診察、治療を受けなければいけない事態になっては、費用も手間もかかるという事です。
ワクチン接種は1年に1度で、費用も驚くほど高価な物ではありません。この手間と費用で大切な猫ちゃんの健康を維持出来るのなら、やっておいて損はないのではないでしょうか。
「肥満」対策は、出来ていますか?
完全室内飼育をするのであれば、避けて通れないのは「肥満」でしょう。この猫ちゃんの「肥満」、これは、不妊手術と慢性運動不足が原因だと言われています。
戸外で生活している猫ちゃん達、つまり、野良ちゃんや、飼い猫ちゃんの中でも、家と外出入り自由の猫ちゃん達は、健康と食事、縄張りを守る為、絶えず緊張した生活をしているのです。
縄張りを争う必要も無ければ、黙っていても定期的に栄養満点の食事が目の前に出て来る室内飼育の猫ちゃんは、言ってしまえば、エネルギーの使い所ゼロにひとしいと言っても過言では無いでしょう。
そんな猫ちゃん達は、せいぜい家の中を走りまわったり、飼い主さんにおもちゃで遊んで貰ったりする程度、やはり、どう考えても野良ちゃん達の運動量とは比較になりません。
逆に、ならば猫ちゃんを痩せさせる為に一緒に遊んで運動をさせ様と考え、多少激しいかなと思われる程度の運動をさせてしまうと、お腹が空いて運動後の食事がすすんでしまい、悪循環となる可能性も捨てきれないという事になります。
ですから、猫ちゃんの場合、運動による減量の可能性にかけるより、確実なお食事での減量を心掛ける方が有効と言えるでしょう。質の良い食事を適量与える事が最善策だという事になります。
猫ちゃんにとって「肥満」が、どうしていけないのか、冷静に考えれば、優れた飼い主さんであれば、決して欲しいだけエサをあげるとか、気を引く為に多量のおやつを与えるとか、人間の食事を分け与えるとか、間違えた食事管理などしないはずです。
猫ちゃんにとって、悪い食習慣・食生活は、「肥満」やさまざまな内臓疾患を引き起こし、大切な猫ちゃんの命を落としてしまうかも知れないのですから。
猫ちゃんにとって最適な体重は、体長・年齢などによって個体差があります。かかりつけの獣医師と相談の上、その子にとってのベスト体重を知り、維持できるよう心掛けましょう。
何はともあれ、過食は禁物です。基本的に猫ちゃんの食事は、朝と夕の二回です。また、本来夜行性の動物である猫ちゃんは、ホルモンの関係で、夕方以降のほうが食欲が増すと言われます。
しかし、だからと言って夜中でも食事が摂れる環境にあると、猫ちゃんは喜びますが、食べすぎてしまい『肥満』の原因になるという事にもなりますので充分注意してください。
正しい『離乳』が出来ていますか?
離乳の時期にも子猫の成長により個体差があるものです。杓子定規に考えず、子猫と相談しながらチャレンジしてみる事です。失敗と感じたら、またミルクに戻し、決して焦る事なく、タイミングをみて再度試してみるという具合です。
ここで大切な事は、子猫ちゃんにとっては、ちょっと可愛そうに思われるでしょうが、飼い主さんは心を鬼にして一度、空腹にさせましょう。それが、『離乳』のコツです。
消化機能がまだまだ不完全な子猫ちゃんへの『離乳』は、市販の子猫専用の離乳食を用意してあげる事をお勧めします。
ぺ―ストタイプ・ドライタイプ、いずれもミルクでのばし、柔らかい状態にし、食べると言うより舐める事から始めてあげると、子猫ちゃんの『離乳』は成功しやすいと思います。
その際にも忘れていけないのが、量や便の状態の観察です。子猫ちゃんの様子に合わせて、徐々に固体に慣らしていく事です。
初めから、上手に食事が出来る筈がありません。口より先に手、足が食器に入ってしまったり、顔ごと食器につっこんだり、エサを一面に撒き散らしたりと、大変な状態になり、飼い主さんのイライラも積もるでしょう。でも、それは、当然なのですから、広い心で優しく見守り、のんびり『離乳』をすすめていきましょう。つまり、焦りは禁物という事です。
猫ちゃんの起源を紐解くと、肉食よりの雑食動物である犬と違い、猫ちゃんとは、完全な肉食動物であるという事がわかります。
つまり、本来、猫ちゃんには穀物などの炭水化物を上手に消化する機能は十分に備わっていない為、いわゆる「ねこまんま」と言われる物は、実は下痢や消化不良を起こしやすい食事と言えます。また、お味噌に含まれるは多くの塩分が、猫ちゃんにとって良くない物であるという事は、改めてお話する事でもないでしょう。
また、猫ちゃんに牛乳を与える事は良くないという話は、多く聞かれますが、栄養素で言うのであれば、過剰摂取にならない限りは、猫の体に問題はないという意見もあるようです。
猫ちゃんは、牛乳の脂肪の吸収・分解があまり得意ではないという理由から、体調が悪い時や、特に子猫にとっては、牛乳は胃腸に負担をかけてしまう事から、下痢や消化不良を起こす可能性がありますので、与える時には猫の体調に気遣うことが必要です。
また、牛乳には、カロリー・栄養共に豊富に含まれていますので、与える量と、普段のエサとのバランスも充分考えましょう。カロリー・栄養過多になってしまうと『肥満』の原因になるばかりか、カルシウムが多い為に、猫ちゃんに多い尿結石などの病気を引き起こす危険性が高くなるので、お勧めはできません。
結論的には、牛乳という食品は、猫ちゃんにとって、与える必要性がある物ではないので、あえて与える必要はないと言えるでしょう。
ですから、子猫ちゃんに与えるのであれば、市販の子猫専用のミルクを子猫用の哺乳瓶であげるのが望ましいのです。
また、『離乳』が進み、普通の食事が摂れるようになった猫ちゃんにも、バランスの取れた総合栄養食であるキャットフードを与える事が1番良いと思います。
飼い主さんの中には、キャットフードでは味気ないので、手作りの食事をあげたいとお考えの方もおられるでしょうが、手作りの食事は、愛情はたっぷりかもしれませんが、専門的な知識がない場合、実は、猫ちゃんにとっては栄養素が偏っていたり、カロリーバランスが崩れていたりする場合もありますので、あまりお勧めできないのです。
保温対策は、出来ていますか?
産まれたばかりの子猫ちゃんは、生後6日頃までは環境変化に対する反応が出来ないので、自分の体温を保持する事も、体温調節の能力もありません。本来であれば、母猫さんに抱かれて母ネコさんの体温で温められた環境でスヤスヤ寝ているものなのです。
つまり、母ネコさんなしで、飼い主さんの手で子猫ちゃんを育てる場合には、人工的な保温が必要不可欠です。
具体的な保温対策としては、お布団は勿論、あんか・湯たんぽ・カイロなどがあげられます。
しかし、火傷の危険性もありますので、いずれの保温グッズも布でくるむなどして、絶対に直接子猫ちゃんに触れる事のない様に配慮しなくてはいけません。また、熱すぎてしまうと脱水症状を引き起こし、生命の危機にさらされてしまいます。
保温具の置き方ですが、保温具を置く場所、置かない場所を設け、子猫ちゃん自身が寒ければ保温具の側に、暖かければ保温具のない方に移動出来るようにしておきましょう。
そして、寝床には布等で覆いをするなどして、温かい空気が逃げないように工夫しましょう。
お布団ですが、常に爪がしまえない子猫ちゃんにとっては、爪にひっかかりやすいタオル地の物よりは、フリースや綿毛布の 様な毛足の少ない物の方が望ましいでしょう。
うっかりしてしまうのが、飼い主さんが子猫ちゃんを抱っこする際です。無造作に抱っこしてしまうと子猫ちゃんの体温はあっという間にを奪われてしまいますので、不用意に外気にさらさない事、そして、手を温める事などにも配慮しましょう。
子猫ちゃんの体温は生後2週目までは35度、2~4週目まで36~37度、4週目以降は38度前後、因みに成猫になると38~39度位になるという事です。その様な事から考えると理想的な温度は、30度から35度位というママ猫さんに触れる時の温度だと言えるでしょう。
ですから、保温の目安としては、生後1週目までは30度程度を心掛けてあげましょう。1~3週目までは27度位、3~5週目まで24度位と徐々に下げて行ってあげると良いそうです。
冬の寒さも困りますが、夏場のエアコンなどによる冷房の効き過ぎにも注意が必要です。設定温度には、充分に気をつけましょう。25~27度位の室温にするのが、望ましいでしょう。
便秘にも、注意が必要です
本来は、母猫さんが子猫ちゃんの排泄のお世話をします。生後45日以上は母ネコさんが母乳で育て、子猫ちゃんのオシッコやウンチは母猫さんが、舐めて処理してくれるものです。そこで、母猫さんの舐めると云う行為が、子猫ちゃんに刺激を与え、排泄を促すというメカニズムなのです。
まず、母猫さん代わりの飼い主さんが、子猫ちゃんにしてあげる事は、テッシュ、コットン、ガーゼなどのやわらかい物で、おしりをツンツンと刺激し、本来、母猫さんがしてあげている排泄を促すための刺激を人工的にしてあげ、排泄を補助をしてあげて下さい。
この時、注意してほしい事は、決して力を入れてゴシゴシこすらない事です。子猫ちゃんの皮膚はとてもデリケートで、簡単に剥がれてしまう位柔らかですから、軽くトントンしてあげるという感じで行いましょう。同様に、指にベビーオイルをつけて肛門の回りを刺激してあげるのも良いでしょう。
また、お尻周辺をぬるま湯で湿らせたコットンやガーゼで軽くマッサージしてあげるのも効果的です。お腹の「の」の字マッサージも同様です。いずれも、 決して力を入れないというのが鉄則です。
因みに、母猫さんの母乳ではなく、人工ミルクで飼育された子猫ちゃんは、母乳を飲んでいる子と比べ便秘になり易い傾向にあるようです。
便秘の場合、元気であれば3日程度は様子を見てあげていても良いでしょうが、あまり長期間続くひどい便秘の場合には、動物病院での診察をお勧めします。ほとんどの場合、浣腸での処置が施される事が多い様です。
最悪の場合、なかには死亡につながる深刻な便秘もありますので、4日以上出ない時、ミルクも飲まなくなってしまった時には、必ず動物病院で診察してもらいましょう。
下痢は、深刻です!
子猫ちゃんの場合、下痢が2日も続くと体力が落ちて、最悪の状態に繋がる場合も多々あります。軽視したり、見逃すことなく、動物病院に相談しましょう。
人工乳を与えると、必ずと言っていいほど最初の数日間は、便秘か下痢のどちらかにはなる様です。しかし下痢が3日以上続くようであれば、動物病院で下痢止めの注射をしてもらうしかありません。脱水症状などを起こしてしまうと命に関わりますから、必ず獣医の診察を受けるべきです。
目の病気には要注意!
生まれたての子猫ちゃんは、目が開いていないのが普通ですが、しだいに自然に開いて来るのが普通です。
しかし、眼球が発達して膨らんでいるのに、まぶたがピッタリとくっついてしまっている様な場合、必ず拭処置してあげましょう。
目ヤニが沢山出ている子猫ちゃんも少なくはありませんので、その様な場合には、優しく取り除いてあげたり、そっと拭き取ってあげましょう。
うっすら開いた瞼の隙間に、動物病院で処方して貰った猫専用の抗生物質の目薬を差してあげると改善されます。
また、そのままにしておくと眼球が白濁したり、失明してしまう可能性もありますので注意が必要です。眼球の白濁は、初期であれば処方薬で完治出来る場合もあるので、早急に診察して貰い、治療に取り掛かりましょう。
猫ちゃんの瞳は、実は、とてもデリケートなもので、すぐに結膜炎などの炎症を起こしてしまうものです。
子猫ちゃんの開眼時期~生後3ヶ月位までの目の異常に対する処置の善し悪しが、生涯の状態を決定してしまうとも言われていますので、もし、目ヤニがひどかったり、何か気になるような状態が見受けられたら、必ず獣医さんに相談し、しかるべき指示をだしてもらいましょう。
病気によっては、抗生物質薬、サルファ剤、副腎皮質ホルモン剤などの点眼が必要になりので、正しい判断が必要となります。
いかがですか。子猫ちゃんは、とにかくデリケートです。ただ、可愛いからと飼う事を決めてしまい、何の予備知識も持たず、ほっておいても育ってくれると安易に考えるのは、とても危険です。
母猫さんは、それだけ苦労をして、子猫ちゃんが当たり前に自然界で生活できる様に育て上げた上で、親離れ・子離れしているのです。
子猫ちゃんが、小さければ小さい程、可愛らしさもありますが、母猫さんの代わりをするという事は、授乳一つをとっても、最初は、昼間であろうと夜中であろうと、二時間おきのお世話が必要である事は、しっかり覚悟した上で、家族として迎え入れましょう。
その苦労を忘れさせるくらい、子猫ちゃんは、飼い主さんを癒してくれる事は間違いないのですから。
まとめ
間違った子猫の飼い方で、悲劇を起こさない為に知ってほしい事
・完全室内飼育の子には予防接種は必要無い!?
・ 「肥満」対策は、出来ていますか?
・正しい『離乳』が出来ていますか?
・保温対策は、出来ていますか?
・便秘にも、注意が必要です
・下痢は、深刻です!
・目の病気には要注意!