「おたまじゃくしはカエルの子」と言われるように、おたまじゃくしが成長するとカエルになるのはご存知ですよね。しかし、成長後のカエルの種類によって、おたまじゃくしの大きさや色、特徴などにそれぞれ違いがあるのは知っていましたか。
卵からおたまじゃくし、カエルへと変態していく様子は、とても不思議なものです。おたまじゃくしの飼い方は、とても簡単ですので基本的な事を守れば、カエルになるまで飼育することができます。
そこで今日は、おたまじゃくしの飼い方で注意するべき7つのポイントについてお伝えします。ぜひ、おたまじゃくしを飼ってみて生命の不思議に触れてみてください。ではご覧ください。
おたまじゃくしの飼い方で
注意するべき7つのポイント
おたまじゃくしを入手しよう
最近ではペットショップなどで、外国産の珍しいカエルのおたまじゃくしを販売している所も増えてきています。
しかし、日本の里山にはアマガエルやヒキガエル、アカガエルなどたくさんのカエルが生息し、おたまじゃくしも手軽に捕まえる事ができます。冬の終わりから春にかけて、池などにアカガエルやヒキガエルの卵を見つける事ができます。
親ガエルは冬眠から一度目を覚まし、産卵してまた冬眠の続きに入ります。春から初夏にかけて田んぼなどでよく見つける事ができるのはアマガエルの卵です。ちょうど田んぼに水を張る時期にみられます。
卵を見つけたら、そっとすくって池の水と一緒に容器に入れ持ち帰ります。しばらくはバケツに入れておいても大丈夫です。水深は深すぎないように、また卵と卵が重なる事がないように広がるスペースが必要です。
飼育用水槽があれば浅めに水をいれて、直射日光の当たらない所に置きましょう。本来なら、この時期にはフタは必要ないのですが、ベランダに置いておくと猫にイタズラされることもあるので、心配なら猫が手を入れられないようなフタをしておきます。日光も少し当たるようにしましょう。
卵の採取時期により、孵化までの日数はまちまちですが、およそ1週間ほどでおたまじゃくしになります。水を少し足して泳げる環境を作ります。
卵を採ってきた池の水が一番いいのですが、なければ金魚の飼育と同様にカルキ抜きした水、もしくはバケツに組んで1日置いた水など使えばよいでしょう。自分で卵から孵化させたおたまじゃくしは、また一段と愛情がわきますね。
飼育容器を用意しよう
おたまじゃくしを飼うために水槽を用意しましょう。なければプラスチックケースなどで構いません。透明のケースのほうが観察するのに適しています。
水は水槽の半分くらいまで入れましょう。小石や砂などを底に敷き水草を入れると、つかまって浮かんだりする場所になります。ポンプやフィルターなどは必ず必要なものではありませんが、フィルターがあれば水の汚れを防ぐ事ができます。ポンプを設置する際には、水流はあまり強くない方がいいです。
水流が強いとおたまじゃくしが流されて疲れ弱ってしまいます。脚が生えてきたら呼吸もエラ呼吸から肺呼吸に変わるので陸地がないと溺れて死んでしまいます。底に砂を傾斜をつけて置いたり、流木、石などを置くといいでしょう。
ちなみにわが家では、食品売り場で肉などが入っているプラスチック容器(皿)をひっくり返して浮かべていました。ガラス面などを這って上ってくるのでフタがあったほうが安心ですね。
水を作る
おたまじゃくしは淡水に棲む生き物です。自然界では田んぼや川、池などに生息しています。飼育する際には、水道水をそのまま飼育ケースに入れるのではなく、バケツに1日汲み置きた水や、カルキ抜きした水を使いましょう。
水換えは一度に全量を変えるのではなく、水槽の半分くらいは水を残し、そこに新しい水を足して下さい。アカガエルやアマガエルは比較的、水量が少なくてよく5~10cmほどの水深があれば大丈夫です。
おたまじゃくしのエサとして、ごはん粒や煮干し、ゆで野菜など与える場合に食べ残しがあると水がすぐ腐ってしまいます。水が腐る前にこまめに水換えをするようにしましょう。
なんでも食べる雑食性
おたまじゃくしは、なんでも食べる雑食性の生き物です。池の底に沈んでいる落ち葉などについているバクテリアなどを食べていますが、用意できない場合はゆでたまご、ごはん粒、ゆでたほうれん草、煮干し、パン、かつおぶしなどなんでも食べます。金魚やメダカのエサでも大丈夫です。
与えてはいけないエサとして、油っこい物、生の野菜、肉類があります。これらは水を汚す原因ともなるので与えないようにしましょう。
環境作りに注意しよう
おたまじゃくしはの飼育方法は、簡単です。小学生のお子さんでも毎日の世話ができれば立派なカエルに成長させることができます。
飼育環境として注意しなければならないのは、水中に陸地を作ること、飼育密度を高くしないこと、直射日光にあてないこと、体温が高い人間が直に触らないことなどが挙げられます。水中に陸地を作ることは前述したとおり、呼吸法がエラ呼吸から肺呼吸に変わるため溺れてしまうからです。
後ろ脚が生えてから約一週間で前脚が生えてきます。それから1~2日のうちに尻尾がなくなります。尻尾がなくなると溺れてしまうので、その頃までには陸地を用意してあげましょう。
飼育密度が高いと、十分な量のエサを与えていても共食いをします。自然淘汰現象なのですが、共食いをすると尻尾を残す習性があり残った尻尾は水を腐らせる原因になってしまいます。そのためにも、狭い水槽なら適した匹数で飼育して共食いさせないようにしましょう。
水槽をいくつかに分けて飼育する事をオススメします。直射日光に当たると、水温がどんどん上昇し、おたまじゃくしは水中で茹だってしまいます。自然界では水温が上がっても、低い場所へ移動することができますが、狭い飼育ケースの中では逃げる場所がありません。
水温には十分気をつけてあげましょう。またおたまじゃくしは、網ですくうだけで死んでしまうものもいるので、コップなどですくい直接触れないようにしましょう。
36度前後もある人間の体温はおたまじゃくしにとっては危険な温度ですからなるべく直接触れる事は避けましょう。
共生できない生き物がいる
おたまじゃくしの大きさにもよりますが、一緒の飼育ケースで飼う事ができる(共生できる)生き物とそうでない生き物がいます。
カワニナやヒメタニシなどの貝類は比較的共生可能ですが、スジエビ、ヌマエビ、どじょう、メダカなどがおたまじゃくしより大きい場合は、彼らのエサとなってしまいます。
ザリガニやタイコウチなどは、なんでも食べる雑食性で攻撃性も強いので一緒の飼育ケースでは飼わないで下さい。
ヒキガエルは敵から身を守るため毒性を持っています。おたまじゃくしの頃から、この毒性を発揮しているので他の魚やザリガニなどからは襲われることが少ないと言えます。
越冬するおたまじゃくし
ツチガエルとウシガエルのおたまじゃくしは、カエルにならずにそのままの状態で越冬することがあります。低温・低栄養の状態になると陸に上がることをせず、そのまま冬を越します。
その間、ゆっくりと成長し次の夏になると陸にあがりカエルになります。ツチガエルとウシガエルの親ガエルの大きさの割合に比べ、そのおたまじゃくしはかなり大きいです。特にツチガエルは親ガエルが6cmほどですが、おたまじゃくしは8cmほどになるものもいます。
その原因はなぞですが、厳しい冬を乗り切るため環境に適応した結果なのかもしれません。このように変化する環境にも見事に対応していける能力を持つ素晴らしい生き物だといえますね。
おたまじゃくしは私たちにとって身近で親しみやすい生き物ですよね。飼育方法も簡単で、お子さんでも飼育することができます。今回お伝えした飼育について注意する7つのポイントを参考に、ぜひおたまじゃくしを飼育してみてください。
短い期間の中で、様々な変態を繰り返し成長する姿を観察するのはとても楽しいですよね。成長した個体は暮らしやすい環境に放してあげれば、また次の世代へと繋がっていきます。自然環境の変化にも、見事に適応していく生命力の強さにあらためて気付かされることでしょう。
まとめ
おたまじゃくしの飼い方と知っておきたい事
・おたまじゃくしを入手する
・飼育容器を用意する
・バケツに1日汲み置きた水や、カルキ抜きした水を使って水を作る
・なんでも食べる雑食性ですが、生野菜や肉類はNG
・水中に陸地を作ること、飼育密度を高くしないこと、直射日光にあてないこと
・共生できない生き物がいる
・カエルにならずに越冬するおたまじゃくしもいる