猫をお風呂に入れるときに知っておきたい7つのこと

猫を飼っている方の中で『我が家では定期的に猫をお風呂に入れる』とおっしゃる飼い主さんはどのくらいいらっしゃるでしょうか?我が家には4匹の猫が暮らしておりますがお風呂に入れるのは夏場中心で汚れ・抜け毛・匂いが気になるなど必要に応じて・・・の形が基本です。確かに様々な情報をピックアップしてみても『短毛猫にお風呂は必要ない』的な意見も少なくは有りません。

その理由としては犬と違って猫はセルフグルーミングをとても丁寧にします。むしろグルーミングをするのが生き甲斐なのではないかと感じる程です。ですからひどく汚れている猫ちゃんはあまり見かけませんし、もしいたとすれば健康状態に何か問題がある場合が考えられます。それとそもそも猫自身があまり水に触れるのを好まない、あるいは大嫌い!という子がとても多いのです。

しかし人間と生活を共にしている飼い猫ちゃんなら一生お風呂に入らないという子も少ない筈。では、そんな猫をお風呂に入れるときに飼い主さんに知っておいて欲しい7つのポイント、是非参考にしてみて下さい。

 


猫をお風呂に入れるときに
知っておきたい7つのこと

 

入浴前の準備;丁寧なブラッシングと爪切り

猫の上手なお風呂の入れ方のポイントとしてまずしておいて欲しい事があります。いきなり猫をお風呂に入れるのではなく事前にあらかじめ猫を丁寧にブラッシングしてあげて下さい。これがあとあとの流れを全てスムーズにします。是非忘れずに行って下さい。長毛種は特に念入りに!

理由としては人間のシャンプーと同様で髪が絡んでいる状態では洗いにくく汚れも落ちにくいのは言うまでもなく毛を傷めてしまうのも心配です。またあらあらかじめ抜け毛の除去をしておかなければお風呂場の排水溝に大量の毛が詰まり作業にも作業後の掃除にも支障があり大変になってしまうわけです。

どうせ洗って乾かす時には綺麗にブラッシングするんだから…なんておっしゃらず騙されたと思ってこのひと手間かけてみて下さい。きっと納得していただけると思いますよ。猫のお風呂で一番注意しなければならないのは時間短縮・疲れさせない・シャンプーに抵抗感を抱かせないことです。これはその為の下準備の最大のポイントになります。

同時にシャンプー前の爪切りも必須です。お風呂嫌いの猫はお風呂に入れられるのは苦行以外の何物でもありません。当然のことながらシャンプーでお湯をかけたりお湯につけようとすれば嫌がってとてつもなく暴れます。そんな時の猫は必死です。どんなに普段大人しく穏やかな猫でも飼い主さんの制止にも従えず別人ならぬ別猫に化してしまうものです。

これは飼い主さんの為の事前の準備として引っ掻かれて怪我などしない様に行うべきです。猫が暴れたり引っ掻いたからといって「あなた(猫)の為にお風呂に入れてあげようとしているのに!!」なんて叱られても猫にとっては『有難迷惑』以外の何物でもないのです。

 

入浴前の準備;シャンプー液を作る

猫をお風呂に入れる前に是非用意しておいて欲しいのがシャンプー液です。このひと手間も後々効果を発揮しますので是非やっておいてください。それはお風呂場に大きめの容器を用意してぬるま湯を張り猫用のシャンプー適量を入れてかき混ぜておくだけ。『温かい』と感じる程度のぬるま湯で結構です。

その猫用バスタブの準備が済んだらいよいよシャンプー開始です。猫用バスタブに猫を出来るだけスッポリ…可能なら首まで浸けられれば最高です。それでシャンプー溶液が猫の被毛に充分浸み込ませるのです。人間がシャンプーする際にも髪にしっかり水分を含ませてからの方が良い泡が出来るのと同様ですね。

 

シャンプー開始;基本は首から胴に向かって洗う

猫用バスタブでシャンプー液が充分被毛に浸み渡ったらいよいよ猫のシャンプー開始です。猫をお風呂に入れる際のメインイベントですからここはしっかり覚えておいて下さい。

シャンプー液でズッシリ重くなった猫をバスタブから出して充分なスペースのある安定した場所に移動させます。シャンプーにはいくつかのお約束がありますがその一番重要なポイント。首から胴に向かってしっかり泡立てながらシャンプーするのが大切なのです。

理由としては万が一猫の体にノミがいる場合、ノミも必死で逃げる場所を探します。この時、頭部に逃げ込むのは是非とも避けたいので首から胴に向かってという上から下という方向を守るのです。顔は嫌がる猫が多いので濡らしたスポンジを使いひたい・目の周辺・口の周辺・あごなどを拭いていきます。

この時、猫を安心させる為に優しく声をかけながら行うのがポイントです。また最も注意して欲しいのは『水音』。そもそも猫は音にとても敏感でシャワーの「シャーッ」という音が実は猫が怒った時の威嚇の声「シャーッ!」と同じ音の高さでその音を聞くと嫌がる猫も少なくないと言われています。

シャワーをかける場合には「チョロチョロ」程度。猫をお風呂に連れて行く前からシャワーを出しておき音に慣れさせておくのがお勧めです。またシャワーを地肌に近づけ水をはじかせないのもポイント。更に頭部に近い部分を濡らすなら耳を手でおさえ絶対に水が入らないよう注意深く行います。

 

特に念入りに洗うのはしっぽや肛門周辺

猫のお風呂…特にシャンプーで重要なポイント、臭腺のあるしっぽや肛門周辺は特に念入りに洗います。猫の肛門嚢という部分が猫のお尻周りの悪臭の元です。このケアは大事です。猫の肛門を中心としての4時と8時の位置にある袋状の器官でこの部分が膨らんでいる猫はしっぽを上げて指で両方の肛門嚢をギュッとつまむようにして中にたまっていた液体を排出させます。

これはかなりの悪臭なのですばやくシャワーで流します。その為猫をお風呂に入れる際のケアとして組み込むのが一番なのです。飼い主さんが出来ない場合には定期的に動物病院で肛門絞りをして貰うのがお勧めです。1ヶ月に1回を目安にすると良いようです。これは猫によって個体差がありますので様子を見ての判断が必要です。

お尻を床にこすりつける様子や頻繁にお尻を気にして舐めているいるなら肛門腺がたまっている合図です。すぐに絞り出してあげる必要があります。肛門腺がうまく出ずたまり続けてしまうと化膿してしまい状態悪化で手術が必要になることもあるのです。しかしその様な重篤化してしまうのはあまり多くはない様ですから万が一の場合として頭に入れておいてください。

 

シャンプー・すすぎの手順と注意点

猫のお風呂は時間短縮が鍵!とはいえ、とにかく洗えば良いと思い大雑把にしたのではせっかくお風呂やシャンプーをした意味がなくなってしまいます。短時間で効果的にしっかりと猫をお風呂に入れるには飼い主さんは効率的な方法を知っていなくてはなりません。

最低でも二度洗いは必要になります。一度目はさっと汚れを落とす程度で二度目は地肌をマッサージ、しっかりもみ洗いの二度洗いが望ましいのです。ここで効果を発揮するのが猫用バスタブに作っておいたシャンプー液です。濡れる事になじませる意味でもしっかり浸からせてあげられればシャンプーはほぼ成功と言っても過言ではありません。

被毛にしっかり含まれたシャンプー液を指先で軽くもむようにして泡立ててまんべんなく体全体になじんだら一度流します。この前洗いと次は両手を使って毛の流れに逆らってしっかり洗う本洗いをするのです。この本洗いでは頭から背中・腹・足・しっぽの順に洗い進めていきます。

下あごや口周り・尾の背側は腺分泌が活発なので特に丁寧に洗います。爪を立てず優しく手でブラッシングするイメージで行うのが大切です。滑らかな手触りが上手に洗えている証拠です。無駄なく…かつ、しっかり洗えるようになるには少し飼い主さんにもトレーニングが必要ですね。

次にすすぎ。望ましい順番としては頭から体・足の順番に上から下へ流していくのがポイント。タオルをお湯にひたして耳に水が入らない様に押さえながら頭を洗い流した後に体ををすすぐ形です。ここでもシャンプー同様に耳や鼻・目にお湯が入らない・お湯が熱すぎない・シャワーの勢いが強すぎないなどの配慮が大事です。

特に念入りに行う部分としてはシャンプーがたまってしまいがちなお腹と背中の境目など毛の間。すすぎ残しは皮膚炎などの原因になりますのですすぎ残しのない様に注意します。上手に行うコツは猫の動きに合わせて飼い主さんの体を動かすようにして行うと比較的嫌がることなくスムーズです。

 

大きめの猫用タオルの準備

無事猫をお風呂に入れる事が出来たら最後のケアとしてしっかりと濡れた身体を乾かしてあげなければなりません。出来るだけ大きめで吸水性に優れた猫用のタオルを用意しておくと良いですよ。シャンプー後の猫の身体の水分は素早く拭きとらなければなりません。お風呂場を出る動線のなるべく一番近い場所にスタンバイしておきます。

特に、寒い時期のシャンプーは風邪をひいたりしない様に手早く行うことが重要です。お風呂上がりの猫は体温が奪われるのと同時に大嫌いなお風呂に入れらた緊張も手伝って信じられない位可哀想なほどブルブル震えてしまいます。安心と温かさを与えてあげるためここは充分にケアしてあげて下さい。

用意しておいた大きめのバスタオルで決してこすらずに水気をふき取ります。同時にバスタオルとは別にやわらかい布も用意しておき目や耳・鼻のまわりも軽く拭きます。特に注意するのは耳の中に水分が残らないように脱脂綿を使用し拭いておきます。

ならばドライヤ―を使えば良いと思われるかもしれませんが、シャンプー同様にドライヤーを嫌う猫もとても多いものです。基本はタオルドライのみが一般的です。早く乾かす事が第一とはいえ猫が嫌がるのであればこれ以上無理強いするのは酷です。飼い主さんと猫の良好な関係を築く為には絶対に無理は禁物なのです。

ドライヤ―が可能な猫であっても注意は必要です。乾かすことだけに意識が集中してしまいに温風を一カ所に当てつづけるとやけどの心配があります。ドライヤーは体から30センチ以上離し毛並みに合わせるようにドライヤーを当てていくというのがポイントになります。

 

どうしてもお風呂が嫌いな猫にはドライシャンプー

猫がお風呂を嫌がってどうしてもシャンプーできない場合もあります。その様な場合にはドライシャンプーをお試しください。『ドライシャンプー』とは水を使わないシャンプーという意味ですが具体的には泡状の洗浄液の『フォーミングシャンプー』や猫用の猫の被毛にパウダーをまぶしてからブラッシングする『パウダーシャンプー』などです。

ただしここでひとつ注意点があります。猫の場合毛繕いする際に自分の被毛を舐めますのでその際に被毛に付着しているシャンプー成分も体内に取り入れてしまいますので安全性が充分確認できている原料の製品を選ぶ事が重要になります。

子猫から水に慣れさせる事が出来ればシャンプーやお風呂をを嫌がる猫にならないかも知れないとお考えになるかも知れません。しかし、お風呂は嫌いでもお風呂場は好きで飼い主さんが入浴していると平気で湯船のお湯を飲みに来たり水道の蛇口や湯船からこぼれる水で遊ぶ子もいるものです。ですから水慣れしていればお風呂やシャンプーもOK等と一概には言えないというのが現実なのです。

そもそも何故、基本的に猫が水に濡れることを嫌がるのか?これは身体が濡れて体温が奪われてしまう事を心配しているのでは…と言われています。猫は命を守る為に極力濡れない様心掛けているのかも知れません。そんな心理からか水で体を洗わなくても清潔を保てるように猫って入念に毛繕いをするとも言われるのです。

むしろ逆に考えると濡れた状態が続かなければ猫は命の危険を感じずに済むのか…であればそういう意味では子猫の頃から乾かして貰う行為に慣れるのが一番意味があり効果的だと考えるのが自然なのかもしれませんね。

 

いかがですか。以上が猫をお風呂に入れるときに飼い主さんに知っておいて欲しい7つのポイントです。昨今では完全室内飼いの猫も多く現実的にはシャンプーの必要性はほとんどないと考えても良いのかも知れません。ですから一般的な頻度としても年に2~3度で十分だと言われます。

人間と生活を共にするのであれば最低限、例えば飼い主さんが匂いが気になるとか被毛の状態が良くないとか猫の様子に合わせて適宜行えば良いと思います。何故ならそれほど猫自身にとってはお風呂やシャンプーは嫌なイベントでありストレスになる行為であるからです。

確かに長毛種の場合にはどうしても毛が汚れやすく月に1回を目安にシャンプーした方が望ましいと思われています。充分な被毛のケアあってのあの見事なルックスですし…。短毛種に至っては本当に日頃の自身のグルーミングで事足りてしまう感じです。

それとは別に家族の中に喫煙者がいる場合にはシャンプーの重要性が上がって来ます。それは猫の体に付着した煙草のヤニを毛づくろいで舐めてしまうことで『がん』発症率を2倍にするという報告まであるということです。しかしシャンプーのデメリットも考慮が必要で頻繁に洗いすぎてしまうと皮膚が荒れたり毛の艶が失われる心配もあるのです。

どうしてもシャンプーを嫌がる猫のお風呂は無理をせず必要とあらばトリマーさんなど専門家にお任せして少しでも猫自身が感じる苦痛を減らしてあげることをお勧めします。

 


まとめ


猫をお風呂に入れるときに知っておきたい7つのこと

・入浴前の準備;丁寧なブラッシングと爪切り
・入浴前の準備;シャンプー液を作る
・シャンプー開始;基本は首から胴に向かって洗う
・特に念入りに洗うのはしっぽや肛門周辺
・シャンプー・すすぎの手順と注意点
・大きめの猫用タオルの準備
・どうしてもお風呂が嫌いな猫にはドライシャンプー


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