猫も糖尿病にかかる?症状や原因・治療法など7つの知識

猫も糖尿病にかかる?症状や原因・治療法など7つの知識

猫って糖尿病になるのですか?そんな疑問をもつ方も多いですよね。そもそも猫は人間と同じように生活習慣や生まれもった体質的な理由で病気になるのか?また、果たして症状も人間に現れる物と同じなのか?そして、治療はできるのか?完全治癒できるのか?と疑問は果てしなく湧いてきますよね。大切な我が家の一員である猫ちゃんの万が一の時の為に飼い主さんは猫の事アレコレをよく知っておく必要があります。

何故ならそれは猫って言葉で苦痛や状態を伝えてくれない家族だから・・・。もし彼らがそんな苦痛や苦しみに一人耐えているとしたら・・・そしてそんな身体の不調にやっと気付いた時には飼い主として何もしてやれない状況だったら・・・。そんな猫の糖尿病について症状や原因・治療法など覚えておいて欲しい7つの知識をお伝えします。

 


猫も糖尿病にかかる?
症状や原因・治療法など7つの知識

 

 

猫にも糖尿病はあります

猫の糖尿病とはホルモンの一種であるインスリンの働きが悪くり血液中の糖が多くなる病気です。インスリンは膵臓から分泌され血液中のグルコース(糖)を細胞内に取り入れるという働きがあります。しかしそれが何らかの理由で働きが弱まり本来細胞の中に入るはずのグルコースが血液中に残ったままになる状態が起こります。

その結果血液中の糖濃度が高くなってしまいます。これを高血糖と言います。更にその状態が長期的になると体の至る所に障害が出てしまいます。

例えば代表的なのは膵臓の機能が落ちインスリンが出なくなる「I型糖尿病」(インスリン依存型糖尿病)。そしてもう一つ、膵臓は保たれていてもその他何らかの理由で症状が出る「II型糖尿病」(インスリン非依存型糖尿病)です。

猫の糖尿病ではどちらの型も全年齢層でみられますが一般的には6歳を過ぎる頃から多くなると考えられます。I型とII型は1:4程度、犬の糖尿病の比率とは真逆という報告があります。猫の場合、正常な血糖値は空腹時で70~110(mg/100ml)、それが150を越した場合糖尿病が疑われます。しかし猫はストレスが高血糖を引き起こすというケースも多々あり実際に正確な血糖値を知るのはとても困難なのです。

 

猫の糖尿病の症状

我が家の猫には普段から定期的に健康診断を受けさせているよ!という飼い主さんはどのくらいいるでしょう?前項で述べた様に糖尿病で有るか否かは血糖値を見るしかありませんから、なかなか飼い主さんに猫の不調は伝わってこないかも知れません。そんな時参考にするのが猫の生活態度の変化。

水を大量に飲む・食事の量が増える・体重が減少する・おしっこの量や回数が増える・腹部(肝臓)が膨れるなどです。そして白内障や糖尿病性ケトアシドーシスを併発する事も知られています。

 

原因は食生活・加齢・基礎疾患・肥満・投薬・先天性

では猫の糖尿病、原因は何なのか?猫ってとても神経質です。ちょっとしたストレスでも血糖値が上がってしまいます。しかしこれは一時的な現象で糖尿病との区別がとても難しいのです。つまり単に血糖値が高いというだけで糖尿病と言う診断が下せないわけです。実際に猫が糖尿病になった場合、原因として考えられるのは第一に早食い・ドカ食いが習慣化してしまっている事。

食事の度に放出される大量のインスリンに細胞が反応しきれずに血糖を取り込む作用が徐々に鈍ってしまい、その結果糖の血中濃度が高くなり最終的には糖尿病に発展する訳です。年齢的な事も考えられます。猫の糖尿病は10歳以上の猫に多く発症するのですが、これは基礎代謝の低下が食事摂取量について行けなくなる為。

6歳を境に突然発症率が高まり、性別による発症率を比較するとオス猫が7割、メス猫が3割とという報告もあります。膵臓に発生した炎症や腫瘍など基礎疾患が猫の糖尿病を引き起こすこともあります。当然の事ながら肥満も特にII型糖尿病の発症確率を高くします。猫のインスリン抵抗性を高め糖尿病になるリスクを高める疾患としては甲状腺機能亢進症・先端肥大症・クッシング症候群・腎疾患・肝疾患・心不全・腫瘍など。

副腎皮質ステロイド・黄体ホルモン・利尿薬・心臓の薬・抗けいれん薬などの投薬もインスリンの働きを弱め糖尿病につながる恐れがあります。また先天的に膵臓の機能不全があり元々インスリンを産出できないという猫もいるのです。

 

治療法はインスリン投与・食事療法・療法食・運動療法

残念な事に大切な猫が糖尿病になってしまったらどんな治療法があるのかをよく知り早急に治療に当たる事が重要になってきます。なお不幸にも『糖尿病性ケトアシドーシス』の場合には生命に危険が及びます。早急に入院治療が必要となります。代表的な物はインスリン投与。人工的に生成したインスリンの皮下注射を獣医師の指示の元飼い主さんが毎日の日課として行います。インスリンは注射量が肝心で多過ぎても少な過ぎてもいけないのです。適正量の見極めが大切です。

例えば多過ぎれば低血糖発作を起こし意識を失ったりけいれんを起こし、逆に少な過ぎれば血糖値が十分に下がらず注射の意味がありません。その為インスリンの適正量を運動量や摂取カロリーに合わせ獣医師と相談の上決める必要があるのです。尿中の糖分の度合いを視覚的に知ることのできる尿糖試験紙が市販されています。出てきた色と血糖照合表との比較で尿糖の度合いを知る物です。これは人間用を転用することも可能です。

食事療法も大切で食事の質と量には十分な配慮が必要です。獣医師と相談の上、運動量・摂取カロリー数・給餌回数・タイミングなどの設定をします。また療法食として糖尿病や肥満に特化したものの導入する方法もあります。やや割高にはなりますが糖の吸収速度が遅い大麦使用、食物繊維・タンパク質が豊富、カロリーオフなどが特徴です。運動も大切で余分な脂肪を減らしたり多すぎる血糖を消費するという目的で運動療法を取り入れるケースもあります。

ここで問題になるのは飼い主さんが頑張り過ぎてしまい猫に必要以上の運動を無理強いする事。そのストレスから高血糖を発症することもあり逆効果になる事もすくなくありませんので加減が重要です。インスリン注射との併用なら運動量により注射量も変動しますから獣医師と充分に連携をはかり運動計画を立てます。

 

猫と犬の糖尿病の違いに着目

猫と犬の糖尿病は違う点が多くあります。臨床的な事を言えば本来猫は犬とは違います。特に猫の内分泌疾患である糖尿病の診断や治療には猫の医学を特別に学んだ獣医師任せるのが理想です。前項で述べた様にそもそも猫の場合ちょっとした事で血糖値が上がってしまうので血糖値を見るだけでは診断しにくいという点。

また、猫の糖尿病は症状も顕著ではなくなかなか正体を現わさない物であるという点があげられます。 糖尿病の猫は膵臓の働きが悪い・黄疸・高齢で痩せている・後肢の歩き方が悪い・良く水を飲む・最近痩せてきた等、一見見落としがちで深く静かに進行しているのです。

猫の糖尿病にはインスリンを必要としない猫も存在するという点も特徴的です。特に肥満猫。犬はほとんど100%インスリンが必要ですが猫にはインスリンが要らない場合が30~50%。

特に肥満の猫のケースでは食事療法で体重をコントロールすることにより糖尿病も同時にコントロールします。また猫の糖尿病には一過性糖尿病・潜在性糖尿病と呼ばれる糖尿病があります。 これは膵臓にストレスが加わった場合に起こるタイプです。このケースの場合、インスリンを投与には常に注意が必要です。それはすぐに低血糖になりやすいから。このタイプが疑われるなら軽症にはインスリンでなく経口血糖降下剤治療もあります。

猫の糖尿病は急性タイプの糖尿病性ケトアシドーシスが多いです。深く静かに進行してなかなか正体を現わさないのが一般的ですが突然現われるタイプもありますがこのタイプの場合比較的診断は簡単。何故なら尿中にケトン体が存在するという特徴があるからです。この場合早急に治療を要するので使用するインスリンもレギュラーインスリン(即効性インスリン)が使用されます。

 

猫と人間の糖尿病の違いに注目

糖尿病と言えば人間の生活習慣病として一般的に知られています。しかし犬や猫の糖尿病は人間の糖尿病とは多くの点で違いが見られます。特に猫の糖尿病については飼い主さんには理解しておいていただきたい点があります。 例えば糖尿病が引き起こす脳梗塞・心筋梗塞・ 腎不全・盲目・肢の壊死からの断脚などは猫には起こりません。

 

糖尿病性ケトアシドーシスの病態と症状

猫の糖尿病についてお話を進める内に何度か『糖尿病性ケトアシドーシス』という言葉が出てきたのをお気付きになりましたか。一般的に糖尿病性ケトアシドーシスとは糖尿病が長期化した結果血中のケトン体が増加し様々な障害を引き起こす状態を言います。発生のメカニズムはインスリン不足・機能不全により細胞内に取り込まれるエネルギーが減り不足したエネルギーを貯蔵してある脂肪で補います。

すると分解された脂肪からケトン体が生成され酸性のケトン体が増え更に酸性に傾くというものなのです。症状としては1日~1週間という比較的短いスパンで急に現れるのが特徴で食欲不振・水を飲まなくなる・元気がない・嘔吐・下痢・昏睡などです。

 

いかがですか。以上が我が家の猫が不幸な事に糖尿病になってしまった時、飼い主さんに覚えておいて欲しい症状や原因・治療法など7つの知識です。もともと言葉で体調不良や身体の変化を伝えてくれない猫ちゃん。さらには症状も顕著ではなく軽い体調不良と区別がつかない猫の糖尿病についてはとても厄介な病気だということはお分かりいただけたでしょうか。

ですからあまり認知されていなかったり、つい見過ごしてしまい気付いた時には重篤な状態だったなんて事もあるのでしょう。しかし日頃からしっかりと猫ちゃんの様子を見てほんのわずかな変化も見逃さず正しく対処できれば治療方法は確立していますので助けてあげる事は出来るのです。

そしてどんなに可愛くても欲しがるからと言ってつい際限なくおやつを始めその他食べ物を与えたりしない事。大事な家族が苦しむ姿を見たくないのなら日頃からの体調管理・食事管理も大事なのです。

 


まとめ


猫も糖尿病にかかる?症状や原因・治療法など7つの知識

・猫にも糖尿病はあります
・猫の糖尿病の症状
・原因は食生活・加齢・基礎疾患・肥満・投薬・先天性
・治療法はインスリン投与・食事療法・療法食・運動療法
・猫と犬の糖尿病の違いに着目
・猫と人間の糖尿病の違いに注目
・糖尿病性ケトアシドーシスの病態と症状


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