猫の出産に立ち会う時の手順と介助方法

猫の出産に立ち会う時の手順と介助方法

一般的に『ペット』と呼ばれる動物を家族として我が家に迎え入れ飼育していれば飼い主さんは繁殖・出産について一度は考えなければいけません。特に猫の出産についてはとても重要です。なぜなら猫ちゃんは専用ケージに入れて飼う小動物や常にリードやハーネスでお散歩する犬とは違い『完全家飼い』というケース以外は自由気ままに生活するのが常です。

故に他の猫ちゃんとの接触も避けられないわけです。避妊手術や去勢手術を受けていなければ恋に落ちた猫ちゃん達にはベビーが出来るのが自然の摂理。そんなお散歩中に恋に落ちてママになっちゃう飼い猫ちゃんも少なくないのです。また可愛い飼い猫ちゃんのベビーちゃんを是非見てみたいとお見合いをセッティングする飼い主さんも・・・。晴れてママになった猫ちゃんの出産の時、飼い主さんがしてあげられる事をお伝えします。



 


猫の出産に立ち会う時の
手順と介助方法

 

 


基本的には猫の出産は自然体が一番


妊娠63日目位のママ猫は出産に向けての準備が始まります。一般的に猫の出産過程は4期に区分されます。今回猫の出産に立ち会う時の手順と介助方法というお話をしていますが、実は基本的に猫の出産に人間が介入する必要もなく望ましくない事態も起こりうるのです。それはへその緒切り・胎子なめ・胎盤摂食など本来母猫が行うべき作業を人間が関与して妨害してしまう事による弊害もあるのです。

というのもそれが原因で突然ママ猫がベビー猫や育児への興味を失ってしまうケースが少なくないのです。ですから本来は猫の出産は自然に任せるのが基本方針であると思って下さい。そして飼い主さんは飼い主さんなりの関わり方をするのが大切だということが前提です。

 


陣痛期、行動の変化と粘液のチェック


陣痛期は子宮収縮に伴う痛み、つまり陣痛が大きくなる時期です。人間の出産同様、猫の出産でも個体差があり12秒~90分と言われます。60分以上継続する場合には『難産』の可能性があり獣医師にお願いした方が無難です。この頃のママ猫の様子は出産が近づいたサインでもある子宮の収縮に伴い腹部が動くのを肉眼でも確認できます。

苦しそうに口で息をしたり股間をグルーミングしたり営巣行動や歩き回ったり転がったりこすりつけたりという行動をします。そんな猫ちゃんの行動を目にして飼い主さんも落ち着きがなくなる頃ですね。正常体温(38.6度)が1~2度低下するという変化も見られ膣から生卵の白身のような透明の粘液が分泌されます。

何らかの異常がある場合には暗緑色~茶色の液体や悪臭を伴う黄色い分泌物がみられます。これらは細菌感染や流産の可能性を示していますので獣医師の診察が必要となります。しかし第一子の出産後の緑色がかった液体なら正常の範囲内ですので安心して下さい。

 


開口期、羊膜の破れ・出血・継続時間をチェック


開口期には子宮が収縮し胎子が産道を通過、膣の開口部で一時的に止まる時期です。通常なら子宮収縮により胎子を包んでいる羊膜が自然と破れるものですが破れない場合もあります。そんな時はママ猫が舐めて羊膜を破り中から出てきた羊水や新生子を舐めるという訳です。

この段階で大量の出血が見られる場合やベビー猫の頭が見えてている場合は要注意です。5分以上その場に留まっている場合には獣医師の診察が必要となります。

 


産出期、ママ猫とベビー猫の様子をチェック


産出期には膣口にとどまっていた胎子が娩出される時期です。ママ猫にとっては出産の中で一番辛い時間で15~30分間隔で胎子を産み続けるので一般的には全体で1~2時間かかります。猫の出産の場合、およそ70%が頭位(胎子が頭から出る)残り30%が尾位(胎子が尾から出る)です。すかさずママ猫はベビー猫の鼻先を舐め呼吸を促しへその緒を1/3程のところで噛み切るのです。

この時ママ猫が初産で出産に慣れていない場合には飼い主さんは親子猫の様子をしっかり観察する事が大切です。例えばベビー猫をきちんと舐めなかったりするのには問題があります。また、体の位置を変える際にへその緒でベビー猫を引っ張ったり押しつぶすなどの事故が起こるケースもあるのです。

 


後産期、胎盤が全て娩出されたかチェック


後産期とは後産(胎盤)が産道から娩出される時期のことです。猫の出産においては娩出された胎盤組織は栄養補給と巣の清掃をかねてほとんどの場合はママ猫が食べてしまいます。胎盤がママ猫に悪影響を及ぼすという報告はありませんので飼い主さんはそれを無理に止めさせたりせず自然に任せます。第一子の胎盤娩出前に次の子が生まれてしまうこともありベビー猫と娩出胎盤数が合わない場合には注意が必要です。胎盤停滞と言われる母体内に胎盤が残留している可能性があり子宮感染の原因になる事もありますので獣医師に相談します。

 


猫の難産は1時間が目安、医師に相談を!


難産とは猫の出産が長時間にわたる状態で陣痛が始まったにも関わらず1時間以上出産する気配がない場合等がそれにあたります。原因としては母体内にいるベビー猫とママ猫の両方が考えられ多くの場合獣医師の診察が必要です。胎子が大きすぎてママ猫の産道を通過できない場合膣口から強引に引き出すのは困難で帝王切開という処置が必要です。

これは例えば1匹だけが異常に成長したとか奇形により胎子の体の一部が異常に大きくなった巨大胎子などです。ママ猫の骨盤が小さく胎子が通過できないという状況もまれではありますが考えられます。犬と比較して猫には少ないのですが子宮の筋肉が正常に収縮しない子宮無力症という病気が原因となることもあります。子宮疲労と言われる子宮筋の収縮は正常でも出産が長引いたために十分な収縮力を生み出せなくなる状態もあります。

 


産前産後の環境づくり


大切な猫ちゃんの出産に飼い主さんがしてあげられる事で何より大切なのは落ち着きやすい場所を提供してあげる事です。望ましいのはある程度暗くて人の行き来が少なく三方を囲まれたような場所を用意することです。少し厚めにタオルを敷き陣痛が始まった様子が見られたら新聞紙などを敷いてあげると巣作りが出来てママ猫は落ち着きます。ベビー猫の為の保温にも配慮します。

陣痛の兆候が見えたらきれいなはさみと丈夫な太目の糸(へその緒を切って結ぶため)・タオル(ベビー猫を拭く、母体の清拭や悪露の処理)・お湯を張った洗面器(ベビー猫の保温や清拭、蘇生にも必要)を準備。ママ猫が出産に対応できていない様子なら飼い主さんはベビー猫を包む膜を破りへその緒の処理、場合によっては身体をお湯につけマッサージしながら拭きあげ乾かしてあげます。もしベビー猫が呼吸をしないとか鳴かない場合には鼻のつまりをとるために頭を振るか吸い出す必要があります。

さらにマッサージを念入りに行いお湯で暖めます。その間に獣医師へ連絡し指示を仰ぎます。猫の出産介助は原則は静かに見守ること。どうしても必要な場合のみ手助けをすると考えて下さい。第一子誕生時、ママ猫が次の子を産むのに集中出来なさそうな様子が見えた場合、第一子はそっとタオルでくるんで遠ざけてあげる。

ベビー猫が産まれてもママ猫が1分間以上何もしない場合、ベビー猫をガーゼで拭き羊膜を剥がし鳴くように促します。ベビー猫が鳴かない場合、ベビー猫をガーゼで拭き羊膜を剥がし口と鼻の水分を拭き取ります。顔を下向きにし水分を落とす方法もあります。つまり飼い主さんが猫の出産に立ち会ってすることは緊急事態が起こった時の対処に尽きるのです。

そこで大切なのは事前に動物病院との連絡を密にして何かあった時には即座に相談できる体制を整えておく事なのです。それと共にママ猫とベビー猫の観察。出産を終えたママ猫の行動は充分に注意して下さい。それが猫の出産後の適切な母性行動なのか異常行動なのかの見極めは飼い主さんの大切な役割です。ベビー猫との接触の仕方や授乳の様子のチェックが必要で母性攻撃行動に対する配慮も忘れないで下さい。

特に問題となるのは育児放棄やカニバリズム。原因は人間への過剰な愛着・ストレス・社会化期の他の猫との接触不足など様々。そんな場合には飼い主さんである人間が介助してあげる必要があるのです。

 

いかがですか。以上が我が家の猫ちゃんがいざ出産!という時に飼い主さんがオロオロしてしまう事無く、毅然とした態度で立ち会う為の手順と介助方法です。当然の事ながら自然界に暮らす猫ちゃん達は私達人間が考える程、弱い生き物では無く人生の中でも最も大きな仕事である出産も自分の力だけでしっかり乗り越えられるのです。

逆に言えば緊張して落ち着きをなくした飼い主さんにウロウロされて不安になるよりは猫ちゃんは一人静かに出産の苦しみに耐える方が集中出来る生き物なのです。とは言え家族同然に日々生活している猫ちゃんの為に飼い主さんとして何か力になってあげたいと考えるのも当然ですよね。大切な猫ちゃんの出産には適切に対処し大仕事を終えた猫ちゃんの苦労は充分に労ってあげて下さい。

 


まとめ


猫の出産に立ち会う時の手順と介助方法

・基本的には猫の出産は自然体が一番
・陣痛期、行動の変化と粘液のチェック
・開口期、羊膜の破れ・出血・継続時間をチェック
・産出期、ママ猫とベビー猫の様子をチェック
・後産期、胎盤が全て娩出されたかチェック
・猫の難産は1時間が目安、医師に相談を!
・産前産後の環境づくり