猫の鳴き声。いろいろな鳴き声がありますが、もちろんどの鳴き声にも猫なりの意味があります。人間が言葉を交わし、意志を伝え合うように、猫もまたいろいろな信号を送りあい、お互いの意志を確かめ合います。言ってみれば、「猫語」のようなものでしょう。
言葉があるのは人間だけなんて思っていませんか。ところが、そうではありません。犬や猫、鳥やイモリ、カエルなど、ありとあらゆるさまざまな生き物が、お互いの意志を伝え合う信号をちゃんと持っています。危険を知らせる信号、求愛のしるし、ケンカをするつもりはないよという平和の信号など、さまざまなことを生き物たちは、お互いに知らせ合います。これはもちろん、動物たちの言葉だといえるでしょう。
ドリトル先生のように動物の言葉がわかるといいのですが、残念ながら、私達人間は、生き物たちの言葉のほんの一部しかわかっていません。いつも共に暮らしている犬や猫の言葉でさえ、きちんとわかってはいません。けれども、そばに暮らしている猫たちの言葉を少しでも知りたいですよね。
それでは、これは猫の言葉のほんの一部だとは思いますが、猫の鳴き声にはどのような意味があるのか、お伝えいたします。
猫の鳴き声で心の声がわかる
7つの方法
ゴロゴロ
猫の鳴き声の代表ともいえるゴロゴロという喉を鳴らす声。これは明らかに自分の意志を伝えるための鳴き声です。なぜなら、猫たちはまわりに、他の猫や人間、他の動物がいないときには、ゴロゴロという鳴き声を出さないといいます。ですから、何か伝えたくて、猫は、ゴロゴロという鳴き声を出しているのですね。
幼い子猫は、母猫の乳を吸っている時、ゴロゴロという音を立てます。子猫や母猫たちは、お互いに安心している時、ゴロゴロという鳴き声を立てると言われています。母猫は、巣に戻ってくる時、ゴロゴロと鳴きます。帰ってきたよ、もう心配いらないよという合図なのでしょうか。子猫たちは兄弟同士で遊ぶ時にも、この音を立てます。満足や幸せなことをあらわしたい時、猫たちはゴロゴロという鳴き声をたてるのでしょう。
けれども、激しい苦痛や恐怖を感じた時も、この音を立てると言われています。これはおそらく、自分の気持ちを落ちつけるために、ゴロゴロ鳴いているのだと予想されます。私達人間も、墓場などの真っ暗な恐ろしい場所を通る時、わざと明るい口笛を吹いて気をまぎらせようとしますよね。それと同じことなのでは、と考えられています。
ニャオ
これも猫の鳴き声の代表的といえます。実はこの鳴き声は、猫同士の間ではあまり使われることはないそうです。猫がこの鳴き声で呼びかける相手は、ほとんど人間なのだとか。人間に何かをしてもらいたい時…お腹がすいてご飯が欲しいとか、ドアを開けてほしいという時に…猫は、この鳴き声を立てます。おねだりの鳴き声なのですね。
ウーッ、ウォンウォン
犬もこのようなうなり声を立てますが、これは犬と同じく、猫たちがこの鳴き声を出す時は、攻撃を開始する合図として、この声を使います。恐怖の気持ちもまじっています。猫がキバをむきだしてうなっているような時には、無理やり近づいたり、かまったり、じっと見つめたりするのはよしましょう。そして、そっと離れて、あなたは猫へ攻撃するつもりはないのだということを示してあげましょう。
しっぽをふる
猫の言葉は鳴き声だけではありません。身体を使ってもさまざまなことをあらわします。たとえば、しっぽをふるということ。犬はしっぽをふって喜びを表すということは有名ですが、猫の場合はしっぽをふっている時、喜びをあらわしているわけではありません。しっぽをふっているのは攻撃の合図。床をたたくように尻尾を左右にふり、だんだんその速度が増して、振り方も大きくなっていった時、それは明らかに、攻撃の合図です。
しっぽをふっている猫は攻撃体勢に入っていますから、気をつけましょう。
しっぽを後ろ足の間にはさむ
しっぽを後ろ足の間にはさみこみ、体を低くして、自分を小さく見せている時。それは恐怖や服従の合図です。猫がこのような姿勢をとっている時はおびえている証拠なので、あまりおどかさないように気をつけてあげましょう。
仰向けに転がってお腹を見せる
犬の場合、この姿勢をとるのは服従のポーズだといわれています。相手の方が強いと感じた時、攻撃の気持ちはないよと相手を安心させる時、犬は仰向けに転がってお腹になります。
ところが、猫の場合、仰向けに転がってお腹を見せるのは、身を守ったり、獲物の息の根を止める合図だといわれています。鳥やネズミなどの獲物を狩る猫は、獲物に跳びかかったあと、一瞬、あおむけに転がります。そして、獲物を前足でつかまえて噛みつき、同時に爪を全開にした二本の後ろ足をそろえて、獲物の腹の部分を何度もけります。この後ろ足の攻撃により、獲物は腹に致命傷をおうのです。
仰向けに転がってお腹を見せている時、犬ならば気をゆるしている証拠ですが、猫は全然ちがいます。猫を飼っている方は、このちがいは、しっかり理解しておきましょう。
目が半ば閉じている
半ば閉じた目は、信頼と穏やかさをあらわしています。猫が目を半分閉じている時、穏やかな気持ちでいるといっていいでしょう。
いかがでしたか。今、ご紹介したものは猫の言葉のほんの一部です。猫は、鳴き声だけでなく、目や耳、しっぽや背中の毛など、体のさまざまな部分で自分の気持ちをあらわします。また匂いで、猫同士、お互いの意志を伝え合っているといいます。人間にはわからない微妙な匂いで、猫はお互いにいろいろなことを伝え合っているのです。
いかがでしたか。猫は昔からミステリアスで孤独で何を考えているかわからないなんて言われています。腹の底でどんなことをたくらんでいるか謎だなどと言われます。犬は、顔の表情もくるくる変わってわかりやすいですが、猫は顔の表情はほとんど動かず、無表情に見えるので、猫の方が謎めいているように思われてしまうのでしょう。
けれども猫だって、人間にはわからないもので自分の意志をあらわしているのです。鳴き声や、しっぽの角度、目や、耳や、毛や匂いなどさまざまなものを使って、猫は自分の意志をあらわします。人間がそれをきちんとわかっていないだけです。猫のことをより深く理解したいと思ったら、少しでも猫の言葉を研究してみてください。それが、あなたの猫とあなたが通じ合うことのできる第一歩となるでしょう。
まとめ
猫の鳴き声で心の声がわかる方法・ゴロゴロは満足の声
・ニャオはおねだりの声
・ウーッ、ウォンウォンは威嚇の声鳴き声だけが猫の言葉ではない
・しっぽをふる
・しっぽを後ろ足の間にはさむ
・あおむけに転がってお腹を見せる
・目を半ば閉じる