猫は、本来のんびり、マイペースな生き物です。ですから、案外放っておいても大丈夫、と油断して考えてしまう飼い主さんも少なくはないでしょう。
しかし、神経質な子が多いのも事実です。病気になっても、飼い主に伝える術がないというのも勿論ですが、猫は寝るのが大好きで、普段、飼い主は猫の寝ている姿ばかり、見ているので、体調が悪く元気がない様子に気付くのが遅れてしまう事もあるでしょう。
ですから、病気にしない為に、飼い主が普段から気を付けてあげなければいけないと思います。では、その為に飼育環境で留意することは何でしょうか。
猫が病気にかかりやすい
7つの飼育環境を徹底解剖
家と外、自由に出入りできる事は、感染症の原因に
多くの感染症は、戸外に遊びに行き、他の猫や犬との接触、また、排泄物などからの感染が原因となる事が考えられます。
完全に家飼いであれば、かからなくて済む病気もありますので、どうしても自由に行動をさせたいのであれば、病気やウイルスを持った猫との接触を避ける事、ワクチンなどで予防策を施しておく事などが必要です。
その他、接触感染以外でも、猫の食器や人の靴など、間接的な感染経路も考えられます。感染していた猫が使った食器等は処分し、外からウイルスを持ち込まない様に十分気を付けましょう。
猫にとって危険なもの、危険な場所があると、思わぬけがや病気の元
家飼いの猫は家の中が憩いの場であり、運動場です。もし、家の中で猫が走り回ったり、高い場所に飛び乗ったりして、倒れたり壊れるものがあると大変危険です。
また、身軽な若い猫なら高い場所から落ちても体をひねり上手に着地しますが、老猫になると筋肉が衰えたり反射神経が鈍って思わぬ怪我をする事もありますので、老猫の行動範囲には、ステップを用意したり、模様替えを行うなど、怪我防止の為の配慮をしましょう。
また、誤飲する危険のある糸状のものは、一度飲んでしまうと簡単に吐き出すことが困難ですので、特に注意が必要です。整理整頓を心掛けましょう。
蚊の発生源があるとフィラリア感染の原因に
一般には、犬の病気と思われがちなフィラリア症ですが、猫にも感染はします。
更に猫の場合は感染してしまうと症状が見られずに高い確率で死亡してしまうと言われています。これは、猫の細い血管にフィラリアの幼虫が詰まってしまう事による突然死なのです。
感染を防ぐために、夏の「蚊」対策は万全にしましょう。水たまりは蚊の幼虫のボウフラの温床になりますので、不要な水たまりは要注意です。庭やベランダ、空き缶やバケツ、植木鉢の受け皿など小まめにチェックし、すぐに水を捨てましょう。
水場、トイレが不潔だと泌尿器疾患を引き起こす恐れが
猫の命にも関わる泌尿器疾患の予防には、常に新鮮な水を飲める環境が必要です。水をたくさん飲んで、オシッコを薄くしてスムーズな排泄が大切です。
また、トイレが汚いとか気に入らない、行きにくいなどの問題があると、猫は排泄を我慢してします。それらの場所を、いつも清潔にして、猫が十分に水分を摂れ、排泄しやすい環壊を整えてあげる事が大切です。
居住スペースが不潔なのは、喘息などを引き起こします
猫の喘息予防には、掃除、洗濯が一番大切です。塵埃やノミ・ダニの発生を抑える事が重要です。
絨毯や布団を清潔にする事が大事です。万が一、ノミ・ダニが発生してしまった時の殺虫剤、駆除剤などの使用には、十分な配慮が必要です。それらの薬剤は、猫にとって刺激となりますので、猫のいない場所で使用しましょう。
アレルギー素因を持つ猫には、花粉対策の空気洗浄も効果があるでしょう。常に換気をして、細菌やカビ対策の除湿も心掛けましょう。
また、意外に思われるかも知れませんが、芳香剤や消臭剤、お香、香水等は猫にとって、刺激物になりうるものですので、使用する際には注意してください。
気温の急激な変化がある場所は、体調不良の原因に
暑さや寒さなど、気温の変化は、心臓への負担になります。特に、夏場の暑さ・高い湿度が直接猫に伝わる環境は、猫にとって決して望ましい環境とは言えません。
猫は、人間とは異なり、発汗による体温調節は難しいものです。快適な温度や湿度を保つ為の温度管理への十分な配慮が必要でしょう。
また、冷えは、膀胱炎の原因にも挙げられます。暖かくゆったりと休める場所が必要です。
寒がりの猫は、冬の時期、人間のコタツに入りこむ事もあります。しかし、実は、人間のコタツは温度が高めなので、長時間になると乾燥や皮膚への負担などの面から少し心配があります。また、コタツの中の明かりは、猫の目を白内障を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
しかしながら、一般家庭であれば、一年中一日中の温度管理をする事は、大変です。その様な場合には、猫が自分で快適な場所に移動出来る様な環境を作ってあげましょう。
猫は、家の中で一番涼しい、または、一番暖かい場所を捜し出す能力があります。自由に家の中で移動出来る様にしておいてあげれば、一番快適な場所でのんびり過ごすでしょう。
ストレスのある環境は万病の元に
ストレスは、体の免疫力を低下させてしまいます。
ストレスを抱えた猫はせまくて暗い場所にじっとして排泄も我慢してしまう傾向にありますので、泌尿器疾患の引き金になるのです。
引っ越しなどの環暁の変化は猫にとって相当なストレスとなるものです。人間の都合もあり、仕方のない事もあるでしょうが、そんな時には、猫に対する十分な思いやりと配慮を持って接してあげましょう。
無関心な飼い主は、健康状態の把握ができていません
猫の健康管理に無関心な為に、猫に過剰な栄養摂取をさせてしまい、脂肪肝にしてしまったなどという事が、代表的な例に挙げられる様に、猫の健康管理は、飼い主に、任されていると言っても過言ではないのです。
そして、日常的に猫の様子をしっかり見てあげている飼い主であれば、猫の様子の変化もいち早く察知出来る物です。
猫自身はグルーミングが大好きで、暇さえあれば、毛繕いしていますが、老猫であったり、長毛種で自分で十分な毛づくろいが困難な場合、飲み込んだ毛を吐きだしきれず、毛球症などの病気になる事もあります。
また、飲んだ毛が影響し便秘を引き起こしてしまう事もあるのです。定期的にブラッシングをして、グルーミングを手伝ってあげましょう。
いかがですか。以上のことから、猫の健康を左右するのは、個体の生まれもっての体質もあるでしょうが、飼育されている「環境」が、大きく影響を及ぼすという事がわかります。
また、栄養面でも優れた食事を適度に与る事、暑さ寒さに配慮した適切な温度管理など、飼い主が猫にしてあげられる事は沢山あります。
そして、猫にとって「ストレス」が万病の元といえる訳です。
例えば、どんなに猫が好きだからと言って、猫自身の気持ちも考えず、過剰な多頭飼育をする事は猫によっては、「ストレス」になる場合もありますので、決定の前には、先住猫の性格等をしっかり把握した上で、じっくり検討ししなければなりません。
無駄に可愛がりすぎる事も「ストレス」につながると考えられます。可愛い愛猫が元気に過ごすために、飼い主として望ましい生活環境を準備してあげるのは、義務だという事を肝にめいじましょう。
まとめ
猫が病気にかかりやすい7つの飼育環境を徹底解剖・家と外、自由に出入りできる事は、感染症の原因に
・猫にとって危険なもの、危険な場所があると、思わぬけがや病気の元と
・蚊の発生源があるとフィラリア感染の原因に
・居住スペースが不潔だと泌尿器疾患を引き起こす恐れが
・気温の急激な変化がある場所は、体調不良の原因に
・ストレスのある環境は万病の元
・無関心な飼い主は、健康状態の把握ができていません