ふと気が付くと、くしゅん、くしゅんと猫がくしゃみをしている……。これって、何かの病気の兆候だろうかと、猫の体調が気になってしまうことってありますよね。何かの拍子に一回や二回くしゃみをして、その後は元気そうにしていた場合は、ただの生理現象ということもあるでしょう。ですが、頻繁にくしゃみが続いたり、発熱や鼻水などのくしゃみ以外の体調不良も見られるときは要注意です。猫の病気は、最初に目鼻から症状が出るものが意外と多いため、くしゃみ一つも気を付けてあげる必要があるのです。
今回は、そんな猫のくしゃみから考えられる病気のあれこれから、代表的なものを5つ選びました。その病気の症状と対処法について、お伝えします。
猫のくしゃみできになる
病気を5つピックアップしました
アレルギー性鼻炎
人間も、花粉症やハウスダストで鼻水やくしゃみが出ますよね。猫も同じく、アレルギーによってくしゃみをすることがあります。やはり、人間と一緒で、アレルギー持ちの猫とそうでない猫がいるため、全ての猫にアレルギー反応が出るわけではありません。ただ、頻繁に猫がくしゃみをするような感じだと、かなりアレルゲンに敏感な子か、かなり家が埃っぽいということが考えられます。こんな時は、家中をしっかりと掃除しましょう。
猫のアレルゲンになりやすいのは、ハウスダストです。これは掃除機かけだけでは吸いきれませんので、濡らした雑巾でしっかり拭き取りまで行いましょう。
猫風邪
やはり、猫も風邪によってくしゃみをします。猫がくしゃみ以外に発熱や目やになどの症状を見せていたら、猫風邪を疑いましょう。この猫風邪は、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルス、猫クラミジアの3つの病原体から発症します。猫カリシウイルスと猫ヘルペスウイルスは、残念ながら特効薬が無いため、発症した場合は対症療法で落ち着くのを待つことになります。ただ、猫クラミジアの場合は有効な抗生物質があるので、その他の2つのウイルスによる猫風邪よりも安心でしょう。
これらは、毎年のワクチン接種によって感染後の重症化を防ぐことができます。ワクチンは、感染自体を防御できるわけではありませんが、重症化しないということは、かなりの安心要素になります。
猫エイズ
猫エイズによるくしゃみは、感染して間もない急性期、そして急性期が終わり無症状キャリア期を経て猫エイズ発症期に入った時に起こる可能性があります。まず、急性期の猫のくしゃみの場合、風邪に似た症状が数か月続いてから、何事もなかったかのように元気になります。ですが、できればこの急性期のうちに、病院で猫エイズの診断をもらい、適切な治療を受けさせてあげた方が良いです。この後に来る猫エイズ発症期にもくしゃみが出ることがありますが、これは免疫力が著しく低下した結果のことなので、もう打つ手が無い状態なのです。猫が長い間くしゃみや鼻水を出していると思ったら、単なる猫風邪だと思わずに、動物病院に連れて行きましょう。
副鼻腔炎
風邪などによる猫の鼻炎や歯周病などから、副鼻腔炎に発展することがあります。これは、鼻腔の奥の空洞(副鼻腔)に炎症が起こり、鼻水やくしゃみが出続ける病気です。このまま放っておくと副鼻腔に膿が溜まり、蓄膿症になります。まずは、副鼻腔炎の元になっている病気を治してから、服薬などによって副鼻腔の炎症も鎮めます。もし、膿が溜まって酷い場合は、外科的処置をして、膿を吸引します。
猫がくしゃみをしているという程度なら、まだ症状が進行していないことが多いですが、放っておくと呼吸困難などになり、薬を鼻から直接吸入して詰まりを取る処置をします。
クリプトコッカス症
クリプトコッカスという真菌(かびの仲間)を吸い込むことによって起こる感染症です。これに感染すると、くしゃみの他、粘りのある鼻水や血が混じった鼻水を出し、いびきをかくようになります。また、鼻の症状の他、食欲減退、皮膚の腫瘍などの症状が出て、悪化すると神経症状も表れるようになります。このクリプトコッカス症は、元気な猫なら菌が体内に入ってもまず発症せず、他の病気で弱っている時に、合併症として起こりやすい病気です。このクリプトコッカスは、ハトの糞が主な感染経路のため、室内飼いでもベランダにハトが訪れるような環境の場合は、感染してしまうことがあるので注意してください。
いかがでしたでしょうか。このように、猫のくしゃみ一つにも、色々な病気が考えられるということがわかりますね。猫は人よりも嗅覚に優れ、温度なども鼻で感知する性質を持っています。ですから、鼻水やくしゃみなどの鼻の不快症状は、猫にとっては大変気になるものでしょう。こんな猫のくしゃみを放っておいては、病状が悪化するばかりか、ストレスにもなってしまうので、早めに治してあげたいですよね。
人間の風邪が鼻の症状から出やすいのと同じく、猫も体調不良が鼻に出やすいため、逆に考えると、猫のくしゃみは病気の重要なサインとも考えられます。これからは、猫のくしゃみを見たり聞いたりしたら、色々な病気の可能性を考えてあげたいですね。
まとめ
猫のくしゃみできになる病気とは・アレルギー性鼻炎
・猫風邪
・猫エイズ
・副鼻腔炎
・クリプトコッカス症