猫の年齢をヒトと比較して、大切に育てる7つのコツ

大切な家族の一員である猫ちゃん。飼い主さんはそんな猫の年齢を考える機会が必ず一度はあるものです。全ての飼い主さんにとって猫が元気に長生きしてくれるのが希望です。しかし残念ながら猫とヒトの寿命を比較すれば圧倒的に飼い主さんが猫を見送らなければいけない日がくる確率が高いのは仕方のない事実です。猫に限らずペットを飼うと決めたその日からそんな悲しい別れの日を覚悟しておかなければならないのです。

だからこそ猫との日々の暮らしは双方が幸せでなければいけないのですよね。大事に育て大切に関わる・・・それが飼い主さんのすべきことです。そのためにできる具体的な事とは何か?猫の年齢をヒトと比較して、大切に育てる7つのコツについてお伝えします。

 


猫の年齢をヒトと比較して、
大切に育てる7つのコツ

 

『家猫』増加で猫の平均寿命は延びている

猫の年齢を考える際にはその寿命も気になるものですよね。一般社団法人ペットフード協会が毎年飼い主さん達に様々なアンケートを実施してペットである犬や猫の平均寿命などンデータをを公表していますが猫の場合、寿命は種類によって差がありますが一般的に10年~15年ほど。それは現代のペット事情が大きく影響しています。

具体的には昨今完全に室内飼いのいわゆる『家猫』がとても増えその為交通事故が原因で死んでしまう猫が減ったことと日常的な食生活の主役であるキャットフードなど餌の質の向上や医療の発達などで猫の平均寿命が長くなっているのがその要因です。そのため猫の平均年齢も引き上がっているのですね。

現在、世界の長寿猫のギネス記録は1988年3月13日に生まれた米カリフォルニア州のサンディエゴの「Tiffany Two lives(ティファニー・ツー・ライブス)」という名前の猫が持っています。 因みに歴代最高齢の猫は1967年8月3日に生まれ2005年8月6日まで生きた米テキサス州の「Creme Puff(クリーム・パフ)」。なんと38歳と3日という超ご長寿猫。その記録は10年近く破られてはいないのです。

日本の猫の場合2013年に発表されたデータでは平均寿命は15.01歳。家の外にでる猫で13.16歳 、家の外に出ない猫は15.99歳と猫の年齢もその生活様式でかなりの差が見られるのです。遡り2010年の平均寿命を見てみると14.4歳でこの3年間だけでも寿命が伸びていることがわかりますね。その主な理由としては外に出ることでウイルスや感染症にかかり易くなることが挙げられます。

 

猫の年齢の人間年齢換算法は18+(年齢-1)×4

一般的に猫の年齢を人間に換算すると?という場合には猫が産まれて1年、つまり1歳なら18歳でそれ以降は1年を4歳として換算する方法をとります。式にすると人間換算=18+(年齢-1)×4となります。となると最初の1年はめまぐるしい成長を遂げるという訳ですね。確かに始めの一年は月ごとにいや日ごとに見た目も変わっていきますがそれ以降はあまり変化は見られませんよね。

 

猫とヒトの成長の比較

年齢換算法を知るとその成長段階のヒトと猫の年齢も比較したくなりますよね。例えば離乳の時期はいつごろか?猫は平均生後2ヶ月程です。生後1ヶ月頃から母乳以外の固形物を食べ始め平均生後2ヶ月程です。離乳が完了します。ヒトの場合、卒乳の平均年齢は1歳程ですから大分違いがありますね。歯の生え替わりも猫は3ヶ月から生え始め6ヶ月で完成するのに対しヒトは乳歯から永久歯への生え変わりが6?7歳ぐらいから始まり12歳でほぼ永久歯が生え揃います。

性成熟に関しては妊娠可能年齢を比べてみると雌猫は3.5?12ヶ月で妊娠可能になり平均的には6ヶ月ぐらい。一方ヒトの初潮の平均年齢は12.24歳でその後1?2年は周期も不安定で排卵がない場合も多く実際に妊娠可能年齢となるのは平均14歳ぐらいです。

骨格の成長も猫種にもよりますがほとんどの猫は1年を超えると骨格は殆ど変化がありません。医学的にみるとレントゲンで骨端線が確認できなくなったのを成長期の終わりと評価することが多いのですが猫の脛骨の骨端線が消え時期には個体差があり14?24ヶ月齢と幅広くヒトの場合、一般的に身長の伸びが完全に止まるのは男性25歳で女性22歳位と言われています。脛骨の骨端線が消えるのは男性で17?18歳です。

病気が増え始めるいわゆるシニアの時期は猫では腎不全や甲状腺機能亢進症など加齢とともにみられる病気が増える猫の年齢は生後12年でヒトはいわゆる高齢者と呼ばれる65歳以上です。この時期、高齢になると共通して増える病気は『がん』。雌猫に多いのが乳がん。乳がんの発症平均年齢はほぼ10?12年。猫全体で最も多いリンパ腫は発生部位やウィルスの影響によって異なりますが発症平均年齢は9?13年。

一方ヒトでは日本で一番多いがんは胃がんで平均年齢60歳前後。因みに女性で一番多いのは乳がんで50歳代から60歳前後です。がんの中でも悪性度や発生率は猫とヒトでは異なり日本人男性で一番多い胃がんは猫にはあまり見られず猫の乳癌の90%は悪性だと言われます。他にヒトの死因の上位となる脳梗塞や心疾患は猫にはあまり見られない病気なのです。

因みに猫とヒトの一生をみるという意味でご長寿さんを比較してみると猫の年齢は38年3日が最長記録でヒトではフランス人のジャンヌ=ルイーズ カルマンさんが122歳と164日で長寿記録をマークしています。

 

多頭飼いはあまり望ましくない?

複数の猫を同じ環境下で飼育するいわゆる『多頭飼い』はメリットもありますがデメリットもあると考えられています。メリットとしては人飼い主さんなど一緒に生活するヒトが遊んであげられない場合でも猫同士で遊ぶことができるので猫がお留守番することが多いご家庭にはメリットはありますが実は長生きさせるという点からはデメリットもあるというのです。

それは猫は元来、単独行動が基本の生き物です。そのため人間の暮らす狭い空間の中、飼い猫として他の猫との生活を余儀なくされる環境ではストレスをため込む原因となることが少なくないのです。またある個体がウイルスや感染症にかかるとその猫を中心にたちまち他の猫も感染し健康上の被害が広まってしまう不安があります。

猫の多頭飼いには猫の年齢や相性などしっかりと考慮した上で充分な注意が必要になります。トイレなどにも配慮が必要ですし猫同士の喧嘩も少なくはありません。そもそも猫は群れるのが大嫌いという事実は知識として持っていて下さい。猫同士の多頭飼いについてお話ししましたが実は猫対飼い主さんの関係にも同様のことが言えるのです。

例えば猫が既に生後3年を経過している場合には飼い主さんが20代~30代くらいだとすると前出の人間年齢換算法を使えば確実に猫の方が年上になります。しかし飼い主さんはいつまでたっても猫を子猫の様に扱いがちです。よく『猫可愛がり』といいますがまさにそのような状態です。しかし実は猫が最も嫌がるのはしつこくされることです。

やたらと触ってきたり構われたり抱っこされるのは嬉しいことではなく、そんなことをしてくる人は猫にとっては面倒くさい相手なのです。ストレスに感じていることも少なくありません。猫に快適に過ごして欲しければ原則として猫の飼い方は『放置』するのが一番なのです。

 

猫が長生きするためには健康管理は不可欠

適切な飼育環境で飼育するのは何をおいても長生きのコツです。適切な飼育環境とは猫種によっても猫の年齢によっても異なります。特に純血種の猫に関しては遺伝病に関する正しい知識と管理の仕方の知識も必要です。しかしどの猫種にも共通するのは「肥満」には注意が必要ということです。運動不足や高カロリーの食事は避けます。

猫がくしゃみや咳をするなどの症状に気付き少しでも異変を感じたら即動物病院に連れていくのが重要です。病気の早期発見・早期治療はとても大切なのです。特に猫の成長のスピードは想像以上に早く高齢になればなるほどちょっとしたことで重篤な状態に陥るのはあっけないものです。また猫の年齢とヒトの年齢には大きな違いがあるため猫の寿命が尽きるのはとても早いものです。

淋しいことですが猫をはじめ動物を飼うということは飼い主さんはその別れの時に対してある程度の覚悟が必要なのです。そんな別れの時の悲しみを少しでも軽くするため飼い主さんは猫が長生きできるように出来るかぎりのことをしてあげるべきです。それが普段からの猫の年齢に応じた体調管理と言えばやる気が出るのではないですか?わずかな変化も見逃さないで下さい。

 

年齢に応じた正しい食事が大切

飼い猫は飼い主さんが与える餌が食事の基本です。そして当然のことながらお食事タイムはとても楽しみな時間です。ですから飼い主さんも猫を喜ばすために必要以上にたくさん与えたり人間の食べている物を与えたりしてしまいがちです。それが正しい行為であるかどうかは多くの方がおわかりだとは思いますが・・・。

元々猫は『狩猟』を得意とする生き物なのでその名残がありどうしても次の獲物と出会えるまで目の前の食べ物はまとめて食べる癖があります。猫と犬を飼い比べたことがある方はきっとお気付きのことと思います。従って餌を与えれば与えるほど猫は食べてしまう習性があるのです。

どんな動物にも該当するのですが餌の与えすぎは寿命を縮める原因となります。どんなに猫が喜ぼうが適切な給餌は重要です。満腹感を与えるのではなく必要な栄養素を適量与えるのが望ましいのです。通常猫の年齢が生後1年半を過ぎたら徐々に餌の量を減らして回数を少し増やすと良いといいます。

雑種の猫には必要以上に餌を食べたとしても脂肪として蓄え肥満になるだけの場合が多いのですが基本的には猫という生き物は一般的に腎臓や肝臓が弱いものです。適切な量を守らなければ体調を崩す可能性はおおいにあります。おやつのあげ過ぎ決して望ましくはありませんので控えます。

現在では猫にとって望ましい栄養価や素材に配慮された猫用のキャットフードがどこでも手に入る時代です。安価であることや人間が食べて美味しい缶詰やおかずを与えることはどのような猫にとっても内臓に負担をかけることになりますので猫の健康を考えるのであれば絶対にNGだということを覚えておいてください。

また猫の年齢に応じた必要なカロリーや栄養素・量も違いますので正しい餌を選んで与えることを是非心掛けて下さい。

 

同じ環境で世話をする

人間と生活を共にする猫は当然ながら人間のライフスタイルに合わせた暮らしを余儀なくされます。しかし実はなこの年齢に応じた生活への配慮というのはとても大切なのです。例えば6歳を超えた猫の場合には一日のほとんどの時間を寝て過ごすことになります。

猫の年齢が生後3年くらいまでは元気に家の中を走り回ったりして活発に遊んだりする時間も多いのですがそれ以降は徐々におもちゃやキャットタワーなど遊び道具にも見向きもしなくなるものです。当然、猫の年齢と共に食欲も落ちますから猫のライフスタイルに人間が合わせていってあげ遊びに誘うなど年齢を重ねた猫と関わりは激しさや回数も減らしていくべきなのです。

また猫は暮らしの環境が変わるのもとても嫌います。猫の年齢が生後3年以降に何らかの理由で環境を変えなければならない状況になった場合猫はなかなか新しい環境に慣れてはくれません。ストレスを与えてしまったりいなくなってしまうことも考えられなくはないのです。

猫の年齢が高くなればなるほど猫の事を考えれば出来る限り環境を変えなければいけない状況は避けたいものです。以上は住まいのお話ではありますが日常的な生活の中でも生活環境が変わるのはあまり望ましくはありません。例えばトイレの位置は猫にとってとても大事なことです。飼い主さんが思っているよりずっと猫は神経質になることが多いのです。

猫を大切に育てるコツは猫本来のライフスタイルをよく理解することと猫の暮らしを決して邪魔しないことの二つです。

 

いかがですか。以上が猫の年齢をヒトと比較して、大切に育てる7つのコツです。いくら近年飼い猫の寿命が延びたとはいえ、ヒトを追い抜くほど長生きする猫はどこにもいません。それならば猫を飼うと決めたご家庭は最後までその目の前の小さな弱きものに対しての責任を感じて大切に育てなければいけないのです。可愛いという気持ちだけで無責任に飼うことは決して止めて下さい。

命あるものです。いたずらや病気、怪我、様々な飼育する上でのコストなど飼い主さんにとって負担になることは決してゼロではありません。むしろ予想以上に様々なことが起こります。それらをしっかり認識した上で縁あって家族になった猫ちゃんには幸せな人生を送らせてあげるのが飼い主さんの義務なのです。

 


まとめ


猫の年齢をヒトと比較して、大切に育てる7つのコツ

・『家猫』増加で猫の平均寿命は延びている
・猫の年齢の人間年齢換算法は18+(年齢-1)×4
・猫とヒトの成長の比較
・多頭飼いはあまり望ましくない?
・猫が長生きするためには健康管理は不可欠
・年齢に応じた正しい食事が大切
・同じ環境で世話をする


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