我が家には4匹の種類も年齢も性別も違う猫達がいます。そんな先住猫の館に、この夏、人間の赤ちゃんがやって来ました。
周囲からは、猫が赤ちゃんに危害をあたえるのではないか、また、猫の体毛が赤ちゃんによくないのではないかととても不評でした。とは言え、赤ちゃんよりも先に我が家の家族だった猫達をどうするこうするなんて考えるつもりもなく、多少の不安はありながらも、半分は意地の様に、何とかなるさと思っていました。
しかし、実はそれも人間の勝手な思いで、実際には赤ちゃんのペースに振り回され、猫達が赤ちゃんの泣き声にビクビクしたり、ケージに入れられて過ごす時間が長くなったり、悪意があってした事でないのに叱られたりと、赤ちゃんが来た事による本当の被害者は猫達かもしれません。
という事は、猫にはストレス?猫と人間の赤ちゃんの上手な付き合い方について、じっくり考えてみました。
猫にはストレス?
猫と人間の赤ちゃんの上手な付き合い方
猫から攻撃ってするの?
猫は知らない人や物に対して、とても警戒心が強いので、実際には猫から襲いかかることなど殆どないと言えます。猫を赤ちゃんと会わせる時には、無理に近寄らせたりすることはやめて下さい。
産まれたばかりの赤ちゃんには、相手を正しく認識することは不可能なので、顔合わせさせられても何も感じないかわりに、いきなり現れた小さな生き物に飛び上がらんばかりにビックリするのは、猫達です。
しかも、赤ちゃんという物は小さく弱い存在だという事は、猫達にもわかるのでしょうか。我が家の4匹の猫達は誰一人(一匹)として、赤ちゃんに対して敵意を示した子はいませんでした。
むしろ、三か月経った未だに、まだ、少し気味悪がっているのか、近寄ってはいけない物だと思っているのか、進んで近づく事はなく、遠くから様子を見たり、近くに置いてもいつの間にか一定の距離を置くようにしています。
しかしながら、猫が赤ちゃんの温かさに惹かれたり、赤ちゃんのミルクの香りにひきよせられ、そのまま赤ちゃんの上で寝てしまうことがあるというケースも、実際に海外では報告されている様ですので、それが勿論、猫の悪意でなくても、結果としては猫が責められる事になりますので、猫と赤ちゃんだけになるような状況は作らないようにするべきでしょう。
しかし、赤ちゃんの夜泣きや夜間の授乳で睡眠が減っている上に、猫の行動まで見張らなければいけないとなると寝る時間が全くない事になり、飼い主さんの負担はかなりのものです。なるべく猫には別の部屋で寝て貰うべきかもしれませんね。
猫に不安感を与えない為の事前準備をしましょう
赤ちゃんがやって来るとわかった瞬間から、先住猫達の為に飼い主さんがしなければいけない事があります。
それは、あらかじめ赤ちゃんが生まれた時の生活をイメージしておく事で、猫を新たな環境に慣らしておいてあげましょう。早い時期から、あとは赤ちゃんが来るだけ、という状況を作っておきましょう。
新たに家族を迎える事で起こるトイレの場所や食事の時間などの生活環境の変化や、ベビーベッド等、新しい生活用品がある事に慣れさせてあげる事が大切です。
赤ちゃんがやってきた当初は、猫は赤ちゃんの匂いや鳴き声を嫌がるでしょう。それは、仕方のない事として、嫌だと感じた時に逃げ込む隠れ家を家の静かな所につくってあげましょう。そこには、お気に入りのタオルなどをおいてあげましょう。
事前に赤ちゃんの人形などを置いて小さな人間の存在に慣れさせ、鳴き声やおもちゃの音などを聞かせておく事も良いでしょう。通常、ここまでする必要はありませんが、特に神経質な性格で、音に対して過剰に怯えたり、興奮して怒るなどの不安行動が見られる猫の場合には、イメージトレーニングとして行っておくと良いでしょう。
このトレーニング中にも猫が過敏に反応する様な場合には、実際に赤ちゃんがやって来た時、猫を隔離してあげなければいけないという判断も必要かもしれません。この音を使ったトレーニングもやり過ぎてしまうと猫へのストレスを与える事になりますので、慎重に行いましょう。
ファーストコンタクトで気をつける事
出産の間、数日間は飼い主さんも入院をし、猫と顔を合わせない事になります。猫が久しぶりに帰宅した飼い主さんと会う時には、まずは赤ちゃん抜きで再会しましょう。まずは、いつも通りの飼い主さんとの再開が必要です。また、猫が赤ちゃんを怖がる可能性もあるのです。
また、一番最初に赤ちゃんと猫を会わせる時は、赤ちゃんが寝ている時か、起きていても泣いていない時が望ましいので配慮しましょう。また、猫を強制的に赤ちゃんに近づける、例えば、猫を抱っこして赤ちゃんの顔の前に持って行く等の行動はやめましょう。猫が自分のペースで赤ちゃんに近づいて行くのを待ちます。
この時、猫は赤ちゃんの周りを回ってみたり、恐る恐る匂いを嗅いだりするだけでしょう。もし、猫が赤ちゃんを怖がった場合には、静かに赤ちゃんから離してあげましょう。この時は、おやつで猫の注意を引いてあげても良いですね。
猫と赤ちゃんを仲良くさせるコツは、「あなたが一番」
赤ちゃんがやって来て、家族の全てが赤ちゃん中心で動き始めると「飼い主さんをとられた!群れの序列が乱れた!」と混乱し、寂しさからノイローゼのようになってしまう子も結構多い物です。
赤ちゃんが猫のそばにいる時や、赤ちゃんが泣いてる時、美味しいおやつを与えたり、猫に関心を払うと良いでしょう。そうする事で、猫に赤ちゃんの近くに来ると良い事がある、赤ちゃんは怖くないんだと覚えさせるのが肝心なのです。
そして、ついついやってしまいがちな失敗例としては、仕方がない事とは言え、赤ちゃんが起きている時間は猫を無視してしまい、赤ちゃんが寝て、手があいた時にだけ猫を可愛がる事です。これは、猫自身、飼い主さんにとっての優先順位は、赤ちゃんが一番、猫が二番と感じ、拗ねてしまう事になる訳です。
特に、家族の中でも主に赤ちゃんのお世話をしている人が、赤ちゃんがやってくる以前は主に自分のお世話をしていてくれた人で、その人に依存していた猫であれば、その人の意識が自分から赤ちゃんに移り、相手にされないと思う事でストレスを感じてしまいます。
大変かもしれませんが、あえて、赤ちゃんが起きている時でも猫におやつをあげたり、かまってあげる様にしましょう。
猫を隔離せざる得ないときがあります
猫のサイズやキャラクターを見極め必要に応じて、物理的に猫が赤ちゃんと接触できないよう隔離しなくてはいけない場合もなくはありません。当然、夜中など目が届かない時間帯は猫をケージに入れておく事も必要です。
まだ自力で動く事が出来ない時期の赤ちゃんから猫を遠ざけてる事は、さほど難しくありません。猫は基本的に警戒心が強い生き物ですから。
しかし、神経質なタイプの猫は、突然現れた赤ちゃんを異常に恐がり攻撃性を示したりする事もあります。また、反対に強い興味を示す猫もいるのです。ですから、そういった場合には猫がベビールームに入れないよう工夫をしましょう。
猫をケージなどに隔離しなければいけない場合には、その隔離場所に気を配りましょう。静かで人通りが少ない場所が望ましいでしょう。大きさは食事、水、トイレ、寝床が入るケージが理想的です。二段式のものは上下運動もできるのでより快適です。
実際に赤ちゃんが来る前にケージの中で生活するのに慣れさせておくのも大事です。おやつなどを上手に利用して、自分から入る事、少しずつケージの中で過ごす時間を伸ばして行く事が、ストレスにさせないコツです。
毛やフケ・爪・寄生虫などへの注意が大切です
赤ちゃんがやって来て、仲良くなれるのか?の次に気になるのは、ネコの毛やフケでした。産まれたばかりの赤ちゃんは、まだアレルギーやぜんそくなどの状態がわかりませんから、猫との同居が始まったら、苦しそうにしていないかなどを注意深く観察する事が大切です。
少しでもリスクを減らすためには、お掃除はこまめに行い、空気清浄器などで毛が舞い散るのを防ぐ様にしましょう。肌に湿疹がでる、咳が出るなど異常がみられたら、早めにお医者さんに診てもらう事です。
赤ちゃんの肌は、とても繊細で傷つきやすいです。動物と同居するなら、怪我には十分注意が必要です。例え、猫本人に悪気がなくても、はじめて見る赤ちゃんが不思議でつい手がでる事もあるかも知れません。
赤ちゃんをベビーベッドなど高いところに寝かせておくにしても、猫の行動力、運動能力をもってすれば、飛び乗ってしまう可能性もゼロではありませんから、猫の爪は常に短くカットしておいあげましょう。
寄生虫には、注意が必要です。妊婦さんの時期に、ネコの排泄物や動物の生肉などからトキソプラズマという寄生虫に感染してしまうと、産まれてくる赤ちゃんに障害がでてしまうことがあると言います。防ぐために、お肉は十分に加熱してから食べる、猫のトイレの始末後は、きちんと手を洗うなどの対策を行いましょう。
また、この寄生虫は、ガーデニングの腐葉土などからも感染しますので、この時期のお庭いじりはなるべく控えてましょう。
ママの心身の健康を守りましょう
ペットと人間の赤ちゃんを同時にお世話するという事は、時として想像以上に大変です。赤ちゃんが激しく泣いて泣きやんでくれなかったり、猫ちゃんがいたずらしたり、手間がかかる事などが重なってしまうと、どうして良いのかわからなくなりパニックになるかも知れませんね。
しかし、人間は睡眠時間が極端に少なくなったり、体力が限界に達すると普段通りの思考が出来なくなるものです。そんな時には、全てをひとりで背負わずに、代わりにお世話をしてくれる身内や施設などに頼る事も大切です。
たまには、全てのお世話をお休みして、のんびりと好きな事をして過ごしてみる事も大切です。気力・体力をチャージして、新たな気持ちで赤ちゃんも猫も可愛がれる自分になりましょう。
いかがですか。以上が、猫にはストレス?猫と人間の赤ちゃんの上手な付き合い方です。勿論、猫と赤ちゃんが仲良くなってくれるのは理想ですが、それが何の問題がないことなのかというと実は、難しい問題もあります。
それは、猫から人にうつる病気への危険性から目を背けてはいけないと言う事です。それら、人獣共通感染症は、赤ちゃんや年配者のほうが免疫力が弱いので罹りやすいものなのです。
猫を触った後、赤ちゃんの口に入るものを触る前に手を洗ったり、猫のトイレの排泄物はすぐに片付けたり、猫を外に出さない、回虫などの予防をしっかりするなど、実は大変な手間がかかる事なのです。
また、一般的に猫は、大きな音や泣き声などがとても苦手で、予測不可能な行動をとられるのとビックリしてしまいます。その反応は、個体によって異なります。すべての猫がそうではありませんが、赤ちゃんの泣き声や言動にビックリする猫は多いと考えるべきでしょう。
ですから、猫と赤ちゃんを無理に仲良くさせようとせず、様子をみながらゆっくり慣れさせてあげる事が重要なのです。
まとめ
猫にはストレス?猫と人間の赤ちゃんの上手な付き合い方
・猫から攻撃ってするの?
・猫に不安感を与えない為の事前準備をしましょう
・ファーストコンタクトで気をつける事
・猫と赤ちゃんを仲良くさせるコツは「あなたが一番」
・猫を隔離せざる得ないときがあります
・毛やフケ・爪・寄生虫などへの注意が大切です
・ママの心身の健康を守りましょう