猫は案外丈夫な子が多いものですが・・・それでもやはり突然の体調不良に見舞われたりします。特に猫の目の病気についてはあまり良く知られていない事も多いかもしれませんね。猫の魅力はあの目。そんなチャームポイントである目が濁っていたり目やにで開かなくなっていたとしたら・・・。当然の事ながら気になってしまうし何とかしてあげたくなりますよね。
案外猫の目のトラブルって少なくはないのです。そして、放っておくと重篤化してしまうことも・・・。特にまだ目が開くか開かない頃の赤ちゃん猫ちゃんが目やにのせいで目を開きたいのに開けられないなんて状態も良く目にします。そんな時正しい対処法をご存知の方いらっしゃいますか?その状態が可哀想で無理に開けちゃったりしないでしょうか?
そんな猫の目の病気、知らなかったあんなこと★こんなこと…病気の種類や症状・対策などのお話です。是非参考にしてみて下さい。
猫の目の病気、
知らなかったあんなこと★こんなこと
猫の目の異常をピックアップ
そもそも猫の目の異常にはどのようなものがあるかご存知ですか?例えば涙や目ヤニが多い状態。これはつい見逃してしまいがちですが案外そんな状態に悩んでいる猫ちゃんって少なくないんですよ。これらは実は目の病気だけでなく全身の感染症・下痢や食欲不振を伴う体調不良のサインであるケースだったりもするのです。
飼い主さんの中には猫の目の異常、気にはなっているけれど様子を見てみようとか自然に治るでしょ?なんて放っておく方もすくなくないのではないでしょうか。また勝手な自己判断で目薬などを猫の目につけてしまうと更に悪化させる心配もあります。ですからこれ要注意なのです。
猫の目の病気として代表的なものをあげると『結膜炎』・『角膜炎』・『流涙症』・『眼瞼炎』・『瞬膜の露出』・『虹彩炎』・『眼瞼内反症』などです。ご存知のものはいくつあったでしょうか?
ホコリや異物などの刺激や細菌やウイルス感染によって起こる涙目・黄緑っぽい目ヤニ・充血・目の周りの腫れ・かゆみなどの症状を引き起こす『結膜炎』。目をしょぼしょぼさせている・結膜の色がいつもと違うなどの症状がみられたら要注意。発熱・鼻水・食欲不振の兆候も見られるなら早急に動物病院での受診をお勧めします。
猫の目の表面を覆っている角膜が傷つき、それを放置した結果で角膜が炎症を起こし目を痛がったり涙を流し光をまぶしがる・目ヤニ・涙が増えるなどの症状の『角膜炎』。炎症を起こした部分が他と比べて厚くなり白く濁ったように見えたり瞬膜が出る事も多く手遅れになると角膜に穴が空き中身が飛び出すこと(角膜穿孔)もあるという恐ろしい病気です。
一般的に涙目とも呼ばれ涙が涙管からうまく排出されないために涙があふれ出る状態で涙の過剰分泌や涙管のつまり先天的な奇形などが原因で感染症・眼瞼炎・眼瞼欠損・瞬膜の露出・角膜炎・急性緑内障など様々な病気が原因の場合や煙や異物の混入などでもおこることがある『流涙症』。特に極端に鼻が低いペルシャやヒマラヤンなどは他の猫より多くみられます。
『流涙症』では猫の目や角膜に異物があると強い痛みを感じたり涙の量により結膜が赤く腫れあがることもあります。まばたきや光をまぶしがったりする様子もみられることもあり涙の成分によっては放置しておくとだんだんと目下の毛が茶褐色に変色していくケースもある様です。
眼瞼やその周囲が炎症を起こし瞼が赤くなったり脱毛・ただれるなどの症状がみられる『眼瞼炎(がんけんえん)』の多くは結膜炎などで目ヤニがついたり涙が多量に出る為に前足で眼をこする様子が見られます。細菌によって引き起こされる皮膚炎が瞼まで広がり炎症を起こしていると考えられます。
猫の目には瞬膜という目頭に出る白い膜がありそれは通常眠っているときに出て目を半分だけ覆っているので普段はあまり見えることはなく目を閉じるときや左右に動かすときにだけ見えるものです。目を覚ましたばかりでわずかに出ている場合は時間がたてば引っ込みますがこの瞬膜が目頭から眼球の上まで露出したままの状態が継続的であれば『瞬膜の露出』といいます。
猫の目の瞬膜が充血して腫れて炎症を起こす・瞬膜のリンパ組織が腫れる・瞬膜炎に伴い瞬膜が突出して眼球の半分ほど覆ってしまう等の症状がみられます。原因は不明ですが寄生虫や精神作用の関係性の可能性が疑われています。片目だけならは異物混入・目の損傷などの原因も考えられますが両目の瞬膜が突出しているならば病的なものと考えられます。
『眼瞼内反症』は瞼が内側にめくれて眼球に触れている状態が原因と考えられますがペルシャには先天的な場合もある猫の目の病気です。結膜炎や瞼についた傷跡が縮むことにより起こります。日常的に被毛が眼球に触れている刺激により涙が出たり目をこすったりします。放っておくと角膜に傷がつき角膜びらんや角膜混濁の原因になります。
猫の目の病気の治療法
『結膜炎』の治療法は猫の目をよく洗眼した後に抗生物質の点眼薬を1日に数度投与します。ウイルス性ならば目だけの症状ではなく全身の症状の緩和を第一に行うことになります。それ以外の場合には処方の目薬と内服薬を服用で簡単に治すことが可能です。いずれの場合も市販の動物用の目薬ではなく動物病院で処方して貰います。家庭でのケアは乾いた清潔なガーゼやティッシュで涙や目やにをこまめに拭き取る程度です。
『角膜炎』は種類が多い病気です。眼科検査(フルオレッセンテストなど)によりタイプを調べた上で治療方針を決めます。点眼薬による治療が一般的で軽い場合は点眼薬や注射・内服薬での治療。悪化して表面がでこぼこになる重症のケースでは角膜手術が必要となる場合もあります。
猫の目の角膜の傷は悪化するのが早く治療が遅れると完治が難しいという性質がありますので早期に治療することが何より大切なのです。目ヤニや目のまわりの汚れに気づいたらすぐに取るようにしてあげます。当然ながら人間用の目薬など絶対に使用してはいけません。
『流涙症』の治療は猫の目に刺激を与えている原因を取り除く処置を行い眼球内の炎症を抑える治療をします。軽いものなら薬で改善されることもありますが重篤な場合手術が必要になります。とにもかくにも早期治療が大切です。『眼瞼炎』の場合、目ヤニがひどいからといって素人判断で目薬をつけたりすると逆効果で眼瞼炎を引き起こす場合もありますので獣医師の診断を受けるのが最優先です。
『瞬膜の露出』は原因である病気が完治すると瞬膜も正常な状態に戻りますので病気の治療が先決です。猫の目に結膜炎の症状もある場合は抗生物質や点眼薬を使うこともあります。『虹彩炎』は獣医師の診察を受けることが必要です。『眼瞼内反症』は軽い症状なら点眼液などで処置。ひどい場合には手術により猫の目の瞼を外側に出す整形をします。
『結膜炎』の病態と症状
猫の目の病気で代表的な結膜炎について詳しくお話します。眼球の白目からまぶたの裏側を覆っている結膜と呼ばれる膜に炎症が発生する状態です。この結膜には瞼の内側を壁紙のように覆っている「眼瞼結膜」と眼球の前方部分を覆っている「眼球結膜」とがあるのですがどちらも発症する可能性があります。
猫の黒目(虹彩)は大きく普通に目を開けた状態では結膜の状態を確認するのは困難です。結膜の炎症を確かめるには上まぶたを押し上げる方法と「あっかんべー」の要領で下まぶたを押し下げるといった少々強引な方法しかありません。
猫の結膜炎の症状が重症化すると腫れた眼瞼結膜が眼球の周辺からせり出してきます。そうなる前に飼い主さんは普段からしっかり観察し早期発見に努めます。結膜炎の主症状は頻繁に前足で目をこする・床や壁に目をこすりつける・白目の充血・まばたきや涙が多くなる・眼球が腫れてやや大きくなるなどです。
結膜炎には『カタル性』と言われる粘膜の表面で炎症が起こったために粘膜上皮が剥がれ落ちて粘液の分泌が異常に増えた状態があります。これが長引くと免疫細胞の死骸が徐々に溜まり『化膿性』が生じます。
『急性カタル性結膜炎』は涙が多くなり最初は水のようにさらさらしたものが次第に粘度を増しジュース状の漿液になり多くの場合チェリーアイを伴うことになります。一方『慢性カタル性結膜炎』は急性に比べると症状はやや軽めで結膜が多少厚くなり粘りのある分泌物が出ます。
『急性化膿性結膜炎』は『カタル性結膜炎』が発展して発症するものです。二次感染により症状が重くなってしまい黄緑色の膿が出ます。結膜が真っ赤に変色・ひだ状に変形しほとんどの場合『角膜炎』を伴います。
子猫・若齢猫に多く発症し目が開く前の新生子の結膜炎は「新生子性結膜炎」と呼ばれます。細菌とウイルスが入り混じった状態で、見た目はまるでまぶたを接着剤でくっつけてしまったような状態になるのが特徴です。
『慢性化膿性結膜炎』は目から膿状の分泌物が出て上下のまぶたがくっついてしまいます。結膜は充血して腫れあがり凹凸状に変形し角膜の表面もひどく変性します。新生血管を生じることもあります。
最も一般的である猫の目の病気『結膜炎』の原因としては症状が片方の目にだけ現れている場合は異物などの物理的な刺激があったことが考えられます。一方両目に現れている場合にはアレルギーや感染症などを疑います。いずれの場合も環境的な原因が考えられる場合には飼い主さんは即刻改善策をとる事が大切です。
猫の目の中に異物が侵入したことで炎症反応が起こり結膜に波及してしまう具体的な例はゴミ・シャンプー・花粉・粉じん・揮発性有機化合物などがあげられます。普段の生活を思い起こし原因となる可能性があれば取り除いておきます。
感染症とはウイルスや細菌に感染することで結膜炎を発症することです。具体的には猫ウイルス性鼻気管炎や猫カリシウイルス感染症などがその代表です。他にはいわゆる基礎疾患が原因で結膜炎が引き起こされる場合もあります。具体的には角膜炎・ドライアイ・流涙症・ブドウ膜炎・緑内障・副鼻腔炎などです。
猫の目の病気『結膜炎』の治療には炎症を抑えるために点眼薬や眼軟膏が処方されます。新生子性結膜炎は内側からゆっくりとまぶたを開き膿や粘液を取り除いた上で点眼式抗生物質を滴下するという方法をとります。
長毛種などで日常的に眼球周辺の被毛が眼に入ってしまい炎症を起こしてしまうケースでは猫の目の周囲の無駄毛をきれいにカットする対応をとります。基本的に猫は目の異物を第三眼瞼(瞬膜)のワイパー作用で自力排出可能なのですがそれでも何らかの原因で起こってしまいますので飼い主さんの配慮が大切です。
状態によっては眼の周辺をほう酸水などで洗浄し猫の目を常に清潔に保ちます。猫がどうしても目をこすってしまう場合にはエリザベスカラーで予防する方法も。同時にこする原因追究が必要となります。
細菌やウイルスが原因の場合は感染症治療としてその根本的な原因を取り除きます。猫の感染症で最も多いのは『ヘルペス性結膜炎』と呼ばれる猫ウイルス性鼻気管炎と猫カリシウイルス感染症です。
これらは治療により一時的には治ったように見えるのですが多くの場合ウイルスは保有したままの状態が継続するので猫白血病ウイルス感染症や猫エイズウイルス感染症などで免疫力が低下したときに再発してしまうケースも少なくありません。
いかがですか。以上が猫の目の病気、知らなかったあんなこと★こんなことです。結論的には大切な我が家の猫ちゃんの体、及び目の様子は日頃から小まめにチェックしておくことが重要であり、ちょっとしたことでもうけ流してしまうことなく原因や対応を考えてあげるのが飼い主さんの役割です。また、その際にも自己判断は絶対にいけません。
大切な猫ちゃんを守れるのは飼い主さんだけなのですから。判断を誤ったり対応が少し遅れただけでも猫ちゃんに辛い人生を歩かせてしまう事態が起きてしまうかもしれないのですよ。
万が一、そんな目の異常に悩んでいるのが猫ちゃんでなく自分だったとしましょう。目の大切さは今私が言わずとも充分お分かり頂ける筈です。いずれの病気も早期発見と早期治療さえ出来れば猫ちゃんの光を守ってあげる事が出来るのです。
とにもかくにも日頃の猫ちゃんの健康チェックが一番重要です。言葉で自分の体調不良を伝えられない弱き者への飼い主さんがしてあげられる最大の思いやりです。
まとめ
猫の目の病気、知らなかったあんなこと★こんなこと
・猫の目の異常をピックアップ
・猫の目の病気の治療法
・『結膜炎』の病態と症状